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    <title>バベルの図書室</title>
    <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/</link>
    <language>ja</language>

    <pubDate>Wed, 09 May 2012 00:26:34 +0900</pubDate>  
    <description><![CDATA[目標：ちんまりとした読書小宇宙の構築。]]></description>
    
        <item>
      <title>山尾悠子『ラピスラズリ』（ちくま文庫）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-05-09</link>
      <category>幻想文学</category>
      <pubDate>Wed, 09 May 2012 00:26:34 +0900</pubDate>
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      <description><![CDATA[大変今さらなニュースです。私の大好きな、しかし文句の付けようがないほどマイナーな作家である山尾悠子が、何と先頃ちくま文庫に収録されました。まさか普通の書店で、山尾悠子推しのPOPを目にする日が来るとは、いや全く夢にも思いませんでした。単行本を既に持っているにもかかわらず、思わず購入してしまいましたよ。<br />
これはとてもめでたい報せなので、文庫化というそれだけのことでも記事にする価値があります。単行本が出たのはこのブログを始める前なので、ちょうど良い機会です。<br />
<br />
本書は5つの短篇から成り立つ連作長篇小説で、それぞれ舞台設定も長さも雰囲気もばらばらです。その中では比較的つながりの見えやすい「閑日」と「竈の秋」が気に入っています。特に「竈の秋」の、どたばた喜劇の味わいがだんだん不吉な空気に染まってゆく流れはぞくぞくします。<br />
崩壊が一つの音もなく信仰するような静かな破滅は、この人の作品の中で大好きなところなんですけれども、この連作ではその後の世界が続いています。続く「トビアス」「青金石」まで全て読み終えてからでないと、この本については語れません。最初から最後まで通して読むと、作品の雰囲気の移り変わりにあわせて自分の感じ方までくるくる変わるようで、一作ごとに別の世界を旅してきた気分になれます。<br />
<br />
これを機に山尾悠子の他の作品にも触れる方が増えたら、こんなに嬉しいことはありません。ちょうど入門編にぴったりの傑作選『<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-04-08" target="_blank">夢の遠近法</a>』もありますしね。<br />
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      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>エリザベス・ピーターズ『リチャード三世「殺人」事件』（扶桑社ミステリー）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-05-07</link>
      <category>ミステリ</category>
      <pubDate>Mon, 07 May 2012 00:01:20 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-05-07</guid>  
      <description><![CDATA[英国史上に残る大悪人として知られるリチャード三世の実像に関する、新たな資料が発見された。この資料の発表が行われる屋敷には、リチャード三世を愛好する人々が当時の衣装をまとって集合した。ところが参加者たちの上に、それぞれが扮した歴史上の人物にまつわる災難が次々に降りかかり、ついには…<br />
歴史上の人物の再評価を論じるためにコスプレで集まる人々がイギリスにもいるらしい、というのが一番のヒットでした。わが日本を振り返ってみても、こういう人たちの存在はすごく納得がいきます。こうした活動に関わっている方、もしくはこうした活動を身近にご覧になっている方などには特におすすめします。色々の意味で。<br />
ミステリとしては、主要人物が全員リチャード三世マニアなのと、探偵役のヒロインがその中でも全く埋もれないくらい強烈な他は、きっちりした作品です。どう考えてもネタミステリだと思って読んだので、ちょっと不意打ちを食らった気分です。<br />
史実のリチャード三世は、シェイクスピアその他のイメージのような極悪人ではなかった、という視点の人たちがたくさん出てくるとは言え、「おれはシェイクスピアのリチャード三世が好きなんだ！！」という人（私を含む）でも十分面白く読めますよ。<br />
<br />
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<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594038344/bibliothecdib-22/ref=nosim" target="_blank">リチャード三世「殺人」事件 (扶桑社ミステリー)</a><br />
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<a name="more"></a>]]></description>
      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>『トーベ・ヤンソン短篇集　黒と白』（ちくま文庫）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-05-04</link>
      <category>海外小説</category>
      <pubDate>Fri, 04 May 2012 22:22:21 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-05-04</guid>  
      <description><![CDATA[ムーミンシリーズ以降に書かれたトーベ・ヤンソンの大人向けの短編小説のうち、以前出た『<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2005-09-11" target="_blank">トーベ・ヤンソン短篇集</a>』には未収録の作品から編まれた一冊です。前回とどう違うかというと、あまり一般向けではない感じ…ですかね。楽しく読後感良く読み終えられるわけではないんですけれども、心に何か引っかかる作品が多数入っています。悲惨な展開になるわけではなく、かといってハッピーエンドでもなく、しかし不幸な終わりではないが、という調子。解釈とまでいかなくても、それぞれの短篇について、これは良い話なのかひどい話なのか、とつい考えてしまいました。<br />
どうもこの本は、どの作品にどういう感想を持ったかによって、読んだ人の考え方や経験が見えてきそうな気がします。読書会で取り上げたら、各人の意見が分かれまくって喧々囂々の大騒ぎになるんじゃないかと思うので、そういう集まりを愛好されている方たちにはぜひ試していただきたいです。<br />
<br />
私個人の感想としては、色々人生には思い通りにいかないことも多いけれど、どうにかなることも多いんじゃないか、そんな感じです。鼻持ちならない都会っ子が海辺の家族に居候する「夏の子ども」なんか、始終イヤな感じで展開する割に、ほのぼのとした読後感を持ちました。一方で「記憶を借りる女」は、もうサイコホラーじゃないかと思うほど怖かったです。<br />
この、ままならないがそれなりに人生を楽しむ雰囲気。何かに似ていると思ったら、大好きなフィンランド映画「<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00008IXGB/bibliothecdib-22/ref=nosim" target="_blank">過去のない男</a>」でした。フィンランドの空気なんですかね。<br />
<br />
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      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>新説　恐竜の成長（～6/3）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-05-03</link>
      <category>美術鑑賞</category>
      <pubDate>Thu, 03 May 2012 23:42:22 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-05-03</guid>  
      <description><![CDATA[<a href="http://www.mus-nh.city.osaka.jp/" target="_blank">大阪市立自然史博物館</a>の「<a href="http://dinogrowth.jp/" target="_blank">新説　恐竜の成長</a>」展に行ってきました。テーマが恐竜の成長ということで、今まで大きさが違う別の恐竜だと考えられていたのは、実は同じ恐竜の成長過程だったのではないか…というお話が中心です。私が小さかった頃は、とにかく大きければすごいみたいな風潮があったのえ、こんな展覧会が一般向けに開かれるようになったのは、少し学問として落ち着いて来たような感じで嬉しいですね。<br />
今回の目玉は、外見や動作まで再現した復元ロボットです。中でも、ティラノサウルスは実はハイエナやハゲタカのように動物の死体を食べていたんじゃないかという説に基づく食事中ティラノサウルスのロボットは、これまでにない凶悪な印象のカラーリングで大変怖かったです。化石だけでは恐竜の体の色はわからないので、こういう解釈も大有りだと思いますよ。「ティラノサウルスが死体を食ってた説は、なんか格好悪いので認めたくない」派の人も、これなら満足間違いなしです。<br />
<br />
ちなみに私は、<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%AD%E3%82%B1%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AD%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%82%B9" target="_blank">パキケファロサウルス</a>は実は頭突きをしていなかったんじゃないか説が衝撃でした。それじゃあの丸い頭は、一体どういう事情があって出来たんでしょうね…この衝撃を表すのに「パキケファロサウルスに頭突き食らったみたいな気分」という表現も、もう使えなくなってしまうじゃないですか。<br />
謎を残したまま、次にここの博物館で開催される恐竜関連の展覧会を楽しみにします。<a name="more"></a>]]></description>
      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>日欧のサムライたち（～5/6）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-04-30</link>
      <category>美術鑑賞</category>
      <pubDate>Mon, 30 Apr 2012 19:56:14 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-04-30</guid>  
      <description><![CDATA[<a href="http://www.mus-his.city.osaka.jp/" target="_blank">大阪歴史博物館</a>の「日欧のサムライたち　オーストリアと日本の武器武具展」に行ってきました。何が目当てかというと、<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309409059/bibliothecdib-22/ref=nosim" target="_blank">黒死館</a>にあるような鎧を期待したからです。入って早々、ポスターにも使われている「貴人の四分の三身甲冑　ブラックアンドホワイトデザイン」が出てきたので、その点はもう大満足です。<br />
サムライとか、刺激的な文字が目立つ割にとても真面目な展示でした。前半がオーストラリア・グラーツのエッゲンベルグ城編、後半が大阪城編という感じに分かれていて、それぞれでテンションが上がりました。そもそも近世ヨーロッパの鎧や戦争についてじっくり見る機会がなかったので、そこからして新鮮でしたよ。洋の東西で似たような戦術が用いられていたというのは面白いですね。<br />
大阪城サイドは、けっこうな有名人愛用の品がぞろぞろ出てきて、そんなに日本史マニアでもない私も、心の中でしょちゅう歓声を上げていました。武将の装備品は美術品とはまた違った、実用性からにじみ出る美しさがあります。<br />
ちょうどGW末までやっているので、お近くの方は家族連れでご覧になってはどうでしょうか。私はもう、黒死館にありそうな鎧（森にいそうな女の子＝森ガールだそうなので、それにならって命名すると黒死館鎧）が見られたので文句なしです。<br />
<br />
<br />
<br />
<a name="more"></a>]]></description>
      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>草原の王朝　契丹（～6/10）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-04-18</link>
      <category>美術鑑賞</category>
      <pubDate>Wed, 18 Apr 2012 22:25:24 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-04-18</guid>  
      <description><![CDATA[大阪市立美術館で特別展「<a href="http://www.osaka-art-museum.jp/special/kittan.htm" target="_blank">草原の王朝　契丹</a>」を見てきました。<br />
<a href="http://kittan.jp/" target="_blank">展覧会公式サイト</a>では、「美しき3人のプリンセス」という副題もついてちょっとだけ華やかな雰囲気なんですけれども、実際足を運んでみたらこれが実に地味で。市立美術館の建物の雰囲気も、渋さの演出を手伝っていたのかもしれません。私が契丹国を強く意識した経験というと、中野美代子『契丹伝奇集』（フィクション）くりのものですが、さてはて。<br />
感想を申し上げますと、めったにないテーマということもあって展示はどれも目新しく、とても楽しく鑑賞させていただきました。個人的には、プリンセスより墓所を前面に押し出していただいた方が心引かれたように思います。<br />
今回の展示は10～12世紀、日本では平安時代に栄えた契丹の美術品や副葬品が中心です。見ていると日本と全然接点がなくて、これは普段我々が契丹となじみがないのも道理だと思いました。このなじみの薄さが幸いして（？）、出ている作品がどれも目新しいことと言ったら。中央アジア～東アジアに至る広大な帝国だったので、ロシアから中国、ヨーロッパの端っこくらいの文化までが全部入っているみたいです。これまで知っている色々な文化と頭の中で比べながら見ていくうちに、今まで詳しく知らなかったけど、昔アジアに大変スケールの大きな国があったことがだんだんわかってきました。<br />
<br />
この展覧会は、この後夏から<a href="http://www.tbs.co.jp/kittantokyo/" target="_blank">東京</a>にも巡回します。<br />
契丹がこんなに大きく取り上げられる機会はもう二度とないかもしれないので、ぜひ見に行っておいて下さい。<a name="more"></a>]]></description>
      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>柳宗悦と丹波の古陶（～5/27）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-04-12</link>
      <category>美術鑑賞</category>
      <pubDate>Thu, 12 Apr 2012 23:17:33 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-04-12</guid>  
      <description><![CDATA[<a href="http://www.mcart.jp/index.html" target="_blank">兵庫陶芸美術館</a>の「<a href="http://www.mcart.jp/23/exhibition/yanagi/yanagi.htm" target="_blank">柳宗悦と丹波の古陶</a>」に行ってきました。丹波焼というのは、<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AD%E5%8F%A4%E7%AA%AF" target="_blank">日本六古窯</a>の中では断然知名度の劣る大変地味なやきもので、「雪のような白」とか「鮮やかな発色の青」といったものとは全く縁がありません。土の色に釉薬をかけて上から灰が降ってきたくらいのシンプルな意匠で、最近の作品にはパステル超のかわいらしい器もあるとは言え、今回の出品作品に関してはまあ地味なこと地味なこと。<br />
こんな地味な展覧会に、一緒に見に行く友人を二人も捕まえられたのは望外の喜びです。面白い趣味の友人は持つものです。<br />
ここまで「地味」という単語を既に4回使ってしまうくらいの渋い企画なのも当然で、表題の通り柳宗悦さんが晩年にはまった丹波焼のコレクションが中心になっています。この地方は土もあまり良くないし、やきもの作りには決して恵まれた環境でなかったことからこうした渋い渋い作品が生まれたわけで、なるほどこう言われてみると、柳さんの好みにあったのもわかる気がします。<br />
やきものに関しては、具体的な何かの絵が描いてあるとついそちらを見てしまうので、普段家で使うなら絵のない、釉薬の味わいで楽しむものがいつの間にかお気に入りになっていました。そんな流れで私が丹波焼をやたら気にするようになったのは比較的最近なんですけれども、柳さんもお気に入りだったと知った時はちょっと嬉しかったです。趣味の近い人がいると、その人の好きなものも見てみたくなって自分の趣味が広がり、結果としてさらに好きなものが増えることもよくありますからね。<a name="more"></a>]]></description>
      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>宮部みゆき『模倣犯〔全5巻〕』（新潮文庫）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-04-05</link>
      <category>国内小説</category>
      <pubDate>Thu, 05 Apr 2012 01:19:53 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-04-05</guid>  
      <description><![CDATA[公園のゴミ箱から女性の右腕とハンドバッグが発見され、バラバラ殺人として捜査が開始される。そんな中、右腕とバッグの別人だという電話を皮切りに、犯人はマスコミや被害者の遺族への接触を繰り返し…<br />
この異様な事件の発覚から、犯人と見られる二人組の事故死で唐突に解決が訪れるまでが第1部になります。文庫にして1冊目で事件はいったん解決し、続いて第二部では事故死した二人の過去にページを割き、第三部で事件のその後の展開を語る、大変にぜいたくな書きぶり。文庫で全5冊というと、地平線まで続くような長い長い話と受け取られる方もいるでしょうか。単行本で2冊分、3部構成なので、実際に読んでみるとあっという間でした。<br />
事件そのものが語られるページ数はそれほど多くなく、むしろ事件に関わった人々の過去や現在について割かれたパートの方がずっと分量があります。死体を発見した少年、被害者の遺族、ジャーナリスト、容疑者の家族、犯人と近しい人物、等々…これだけの冊数を使って書かれても、まだこれはこの事件に関わった人々のうちのほんの一握りに過ぎないだろう、書かれないところにはこれ以上の物語があったのだろうと思わせる、無数の色合いを覗かせる巨大な断層のような作品でした。<br />
警察の関係者も主要人物の一人として出てくるものの、彼らの捜査が本筋になってくるわけではありません。犯人の内面を語る第2部で、真相は読者に対しては既に明かされているので、謎解きが興味の中心になってくるでもない。事件をめぐる報道の加熱と沈静化、世論の動きが大きな波のように行ったり来たりするさまの方を、私は面白く読みました。<br />
最後の最後、タイトルの「模倣犯」が何通りもの意味を持って浮かび上がるクライマックスには身震いしました。この数ページのための文庫5冊でしたね。<br />
<br />
<TABLE border=0 cellpadding="2"><TR>
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</TR></TABLE><a name="more"></a>]]></description>
      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>坂口安吾『不連続殺人事件』（角川文庫）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-04-02</link>
      <category>ミステリ</category>
      <pubDate>Mon, 02 Apr 2012 00:39:09 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-04-02</guid>  
      <description><![CDATA[文士の「私」こと矢代は、妻と共に旧知の富豪・歌川一馬の邸を訪れる。一馬の名をかたった招待状に集められた芸術家と歌川家の一族がひしめく屋敷で、次々と殺人事件が発生し…<br />
文庫本としてはそんなに分厚くないのに、裏表紙のあらすじを見ると「8つの殺人」なんて書いてあります。本当にこんなにたくさん事件が起こるのかと思っていたですが、実際きっちり8人亡くなってから解決編に入りました。参りました。あまり続けて事件が起こるので、目次を見ると「火葬場帰り」という章が一つおきにあるのが、怖さを通り越してかえって笑えてきます。<br />
第一章で提示される登場人物たちの人間関係の、まぁ錯綜していることと言ったら。誰と誰が昔付き合っていた、誰と誰が離婚して今この人と一緒になっている、誰誰はまだ未練があるらしい、そんな感じでまるまる一章使われています。いかにも容疑者っぽく、同時にいかにも被害者になりそうな人々を一カ所にどっさり集めておいて、その後どんどん死んでいく。<br />
これはもうパロディじゃないか、ミステリで<a href="http://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%80%80%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%8C%E3%81%A1%E3%81%AA%E3%81%93%E3%81%A8&hl=ja&source=hp&gbv=2&gs_sm=3&gs_upl=59l12030l0l12178l49l41l7l12l0l2l264l3001l5.15.2l22l0&oq=%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%80%80%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%8C%E3%81%A1%E3%81%AA%E3%81%93%E3%81%A8&aq=f&aqi=&aql=" target="_blank">良く突っ込まれる</a>、普通に考えると無理のある部分を先鋭化した普通小説じゃないかと思いそうですが、文句なしの本格ミステリとしての解決がちゃんと用意されています。もともと懸賞小説として書かれた作品だそうなので、自身のある方は挑戦してみて下さい。<br />
こちらの角川文庫（改変再版）版は高木彬光・法月綸太郎両氏による解説もついているので、読み終えた後もまだ楽しめるのが良いですね。<br />
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      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>ジョー・ウォルトン『暗殺のハムレット』（創元推理文庫）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-03-28</link>
      <category>海外小説</category>
      <pubDate>Wed, 28 Mar 2012 22:58:57 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-03-28</guid>  
      <description><![CDATA[ナチス・ドイツと講和を結んだ英国を舞台にした歴史改変小説、《ファージング》三部作の第2部。<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-01-24" target="_blank">第1部</a>からものすごく記事の間隔が空いているのは、もったいなくて読めなかったからです。すいません。<br />
<br />
ロンドン郊外の女優宅で爆発事件が発生し、警察はテロリストの犯行として捜査を開始する。一方、貴族出身ながら政界とは距離を取ってきた女優ヴァイオラは、思わぬ縁から反ファシスト運動の計画に関わることになり、否応なしに時代の流れに巻き込まれてゆく。<br />
ヴァイオラの回想と並行して、前回に引き続きスコットランドヤードのカーマイケル警部補がテロリスト関係の事件に関わることに。ヴァイオラの一人称による語りとカーマイケル視点の三人称での展開が交互にやってきます。<br />
貴族の邸宅で殺人事件が展開した前巻から舞台は一変し、今回はロンドンの演劇界。テロリスト云々は置いておいて、男女の性別を逆転した「ハムレット」上演を目指すヴァイオラたちの姿が楽しいです。ヴァイオラの周囲の人々はもちろん劇団スタッフや俳優ばかりなので、お芝居好きの方はこの部分だけでも面白いと思いますよ。また、演目の「<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%A0%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88" target="_blank">ハムレット</a>」自体が暗殺や復讐を題材にした物騒な話なこともあり、思い出しながら読むのも興味深いものです。事件とは関係ないところで熱弁される「ハムレットは登場人物の性別を入れ替えて考えてみると納得できる」論にも、テロリストだのナチスだのをそっちのけで夢中になってしまいました。<br />
三女のヴァイオラとは反対に、現在も政界や政治家に関わっている彼女の姉妹も、また個性的で強烈です。時代背景と舞台設定から、どこか芝居がかった雰囲気の登場人物たちに加えて、冒頭から悲劇の予感を漂わせるヴァイオラの語りもあり、読み終えると一つの悲劇の鑑賞を終えたような気持ちになりました。<br />
<br />
それにしても劇場と国家的陰謀の相性が抜群で、情景を想像するだけで心がときめきます。やはりイギリスの小説家は、ジャンルを問わずスパイ小説をどこかで<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2010-11-10" target="_blank">扱うべき</a>ですよ。<br />
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      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>チュツオーラ『やし酒飲み』</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-03-11</link>
      <category>幻想文学</category>
      <pubDate>Sun, 11 Mar 2012 00:52:08 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-03-11</guid>  
      <description><![CDATA[こちらはアフリカ出身の作家による幻想的な冒険（？）小説です。カップリングの『アフリカの日々』とは全然タイプが違うので、切り替えが大変です。まず『アフリカの日々』で印象深かった果てしなく広がる大地の代わりに、ほとんど森の中で過ごすところからしてがらりと変わりますね。<br />
あらすじを説明すると、やし酒が大好きな男が、死んでしまった自分専属のやし酒造りにもう一度会うために、はるばる死者の町まで旅をする話です。目的地までの道中、平気で数ヶ月～数年くらいの道草は食っています。<br />
語り始めの部分では全く触れられませんが、途中で主人公が思い出したところによると彼は"この世のことはなんでもできる、神々の〈父〉"なので、どんな怪物に出会っても窮地に追い込まれても、不思議な力を駆使してピンチを切り抜けます。一寸法師や長靴を履いた猫とは違って、知恵やとんちではなく力業で対応し続けるのが新鮮ですね、こんな昔話の主人公はあんまり見かけませんよ。<br />
<br />
旅の間に出会う化け物たちも奇想天外で、完全無欠の人間の姿に偽装する頭蓋骨だけの紳士とか、この世の全てを食い尽くしかねない「飢えた生物」など…この生物の正体については、「戦いを終えた時は夜明け前でまだ暗かったので、詳しく描写できない」と語られ、どういう存在なのかいまいち判然としません。化け物の相手をしている主人公も相当無茶で、他では見たことのないような展開で最初から最後までページが埋まっています。<br />
アフリカのあまりにも原始的でステレオタイプな面を強調した文学だというので、発表当時は批判も多かった小説ですが、残念ながらすごく面白い作品です。ネガティブな偏見もポジティブな固定観念も全部外して、まあ一度読んでみて下さい。<br />
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      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>ディネセン『アフリカの日々』</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-03-09</link>
      <category>海外小説</category>
      <pubDate>Fri, 09 Mar 2012 23:16:01 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-03-09</guid>  
      <description><![CDATA[イサク・ディネセンは「この一冊を読んでしまったらもう新作はないのでもったいなくて読めない」という理由で、いつまでも未読のまま置いておきたくなるくらいの好きな作家です。正体はカレン・ブリクセンというデンマークの貴族だった女性で、本書は彼女がアフリカでコーヒー農園を経営していた日々の回想記です。<br />
ヨーロッパの女性がアフリカで大地主になる時、いかにも起こりそうなトラブルは大体経験されているのに加えて、作中ではまったく触れられない部分の悩みごとがたくさんあったことが、彼女の伝記的な研究から明らかになっています。にもかかわらず暗さや絶望感の中に長くとどまることのない、率直な話しぶりが気持ち良く、楽しい読書体験を提供してくれます。「<a href="http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND2797/index.html" target="_blank">世界でいちばん熱い夏</a>」は、本書からインスピレーションを受けたんじゃないかとちょっと思いました。<br />
前向きだとか、どんなときも希望を捨てないというのともちょっと違った強さ、何が来ても自分で向かい合う以外にない土地で暮らす著者の、腹の据わり方が大したものです。結局彼女は農園経営に失敗し、財産を失ってヨーロッパに戻ることになりますが、破滅の訪れたあと、一連の出来事を貫く原則を探しに出た時のエピソードが強烈な印象を残します。アフリカ暮らしの最後に見つけた答えを持って、デンマークへの帰途につく彼女が見る平原と丘陵の景色が、終結部のごく短くシンプルな締めくくりになっています。<br />
<br />
今回読んだ世界文学全集版は2作品が収録されているんですけれども、あまりにも傾向が違うので記事は二つに分けることにしました。もう一つの『やし酒飲み』は次回をお待ち下さい。<br />
<br />
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      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>東野圭吾『探偵ガリレオ』（文春文庫）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-03-02</link>
      <category>ミステリ</category>
      <pubDate>Fri, 02 Mar 2012 00:06:34 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-03-02</guid>  
      <description><![CDATA[警視庁捜査一課の草薙が事件の捜査に行き詰まった時、必ずある友人のもとを訪れる。不可解な現場の状況に、帝都大学物理学助教授の湯川学が物理学者の視点から解決をもたらす連作短篇集。<br />
変人の名探偵と常識的なワトソン役というおなじみのコンビだと思うですが、どうも理系の研究室にはもれなく変な人がいるイメージがあり、湯川は（あの大学の中だと）とりたてて奇天烈な人物ではないような気もします。作中のトリックが実際に可能なのかどうかと同じくらい、ああいう大学の先生は実際にいるのかどうか、理系学部の人に聞いてみたいところです。<br />
それにしても、探偵の設定とか印象を一切抜きにして、こんなに科学的なミステリはありませんよ。草薙は大変話のわかる人で、理科的に意味のわからないトリックにぶち当たって困った時だけ湯川助教授の研究室へやってきます。おかげで読者は、毎回科学にまつわる謎解きに集中していられます。事件の裏に隠された動機とか感情のもつれなどについては、湯川以外がさらっと触れるだけなのも良いです。<br />
謎解きの部分があまりにも楽しかったので、私はこの本はミステリだということは忘れて、理科の面白さを伝える副読本だと考えることにしました。子どもたちに<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%B3%E6%9D%91%E3%81%A7%E3%82%93%E3%81%98%E3%82%8D%E3%81%86" target="_blank">でんじろう先生</a>がいるなら、大人には湯川先生が必要ですよ。<br />
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      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>宮部みゆき『火車』（新潮文庫）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-02-21</link>
      <category>ミステリ</category>
      <pubDate>Tue, 21 Feb 2012 22:39:41 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-02-21</guid>  
      <description><![CDATA[休職中の本間俊介は親戚の男性の頼みで、突然姿を消した彼の婚約者を捜すことになった。関根彰子と名乗る女性の過去を調査するうちに、徹底的に自分の痕跡を消して生きてきたある人物が浮かび上がり…<br />
宮部みゆきさんという人は、名前の響きが優しいですよね、舌触りがすばらしくなめらかで。対して作品はそんなに口当たりが良いばかりでもなく、苦みや辛さをしっかり配分されているのが良いです。<br />
本書もやっぱり朗らかなようでいて、暗く重たいテーマの話でした。地獄のような真相が明らかになる一方で、本間さんと息子の平凡な、たまに事件も起こる日常が並行して語られるのが効果を増しています。日常と地続きの、ぽっかり空いた奈落のような道が、おり不気味な存在感をもって迫ってきますから。<br />
主人公が謎の女性の足取りを追って真相に近付いてゆくというのは、日本のミステリでは割となじみ深い手法だと思いますが、この本では犯人を無事捕まえて終わりになる気が全くしませんでした。<br />
正体を隠して流離う女性の心情に寄り添いながら彼女を捜す本間さんの目線が、物語の進行と共に胸に染みます。単にすぐれたミステリでしたよ、とは言えない苦しさや悲しさ、少しの救いを含んだ面白さがありました。<br />
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<a name="more"></a>]]></description>
      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>佐佐木信綱校訂『新訂　新古今和歌集』（岩波文庫）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-01-25</link>
      <category>詩歌・戯曲</category>
      <pubDate>Wed, 25 Jan 2012 01:35:28 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-01-25</guid>  
      <description><![CDATA[古代～中世日本の歌集で万葉・古今・新古今のうちどれが好きかと言われたら、迷わず新古今を推します。技巧に溺れすぎとか力強さがないとか言われるむきはありますが、わたくしとしては「掛詞が面白い」この一点だけで楽しくて仕方がないので、江戸時代以降の学者の皆さんが何を言っていようが新古今派でございます。はい。中でも定家が好きで好きで…という話は、<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-11-15" target="_blank">以前</a>にも何度かさせていただいています。<br />
歌をひとつずつ見ていく前に、目次から既に中世日本の価値観が表れているのが興味深いですね。季節の歌は秋＞春＞冬＞夏の順にページ数が多いとか、恋歌だけ5巻もあるですとか。実際にページを開いてみると、恋歌の巻にありながら直接的に恋愛について触れていない歌の多いことにも驚きました。ページ上の見出しには確かに「恋歌　一」とあるにも関わらず、現代の目でパッと見ると、ただの風景について喋っているような調子の歌が。これは別に、昔の日本だけに限った趣味ではないと思うんですけれども、見た人があれこれ考えて解釈して、自分の思い出も投影して楽しめるくらい、幅のある芸術というのが好きなんですね。<br />
技巧の話で言いますと、特に地名を絡めた掛詞が大好きです。悲しい歌でも、「待つ」と来ればまず「松」や「待乳山」に引っかけて来るので、これは実は余裕があるんじゃないのか、あるいは苦しさを手垢の付いた定型文に押し込めることで耐えようとしているのか…と、あれこれ深読みしてしまいます。ですけれども、当時の歌の名手は代作することも普通だったようなので、全部が全部作者の実体験に基づいた歌だと思って読むのは、ちょっと違っているんでしょうね。<br />
<br />
あまり新古今集とは関係ない話ですが、掛詞が大好きな私は、最近<a href="http://zatsubundou.fc2web.com/song_eika.htm" target="_blank">西国三十三所御詠歌</a>が気になっています。三十三カ所分、地名をきっちり詠み込んで、信仰に絡めた歌に仕上げるセンスに感動しました。<br />
<br />
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<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003010116/bibliothecdib-22/ref=nosim" target="_blank"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/414Y1YV1TDL._SL160_.jpg" class="sonet-asin-image" alt="新訂 新古今和歌集 (岩波文庫)" title="新訂 新古今和歌集 (岩波文庫)"></a><br />
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      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>山田風太郎『修羅維新牢』（ちくま文庫）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-01-23</link>
      <category>山田風太郎</category>
      <pubDate>Mon, 23 Jan 2012 22:58:47 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-01-23</guid>  
      <description><![CDATA[明治元年。官軍に明け渡された江戸で、薩摩兵が次々に惨殺される事件が発生する。これに激怒した薩摩軍の中村半次郎は、下手人が名乗り出るまでの間、無作為に捕らえた10人の旗本を一人ずつ処刑してゆくことを宣言する。<br />
こうして理不尽に捕らえられた10人の旗本の、それまでの人生と薩摩軍に掴まる直前までの敬意を語る連作が、本書のメインになります。間違っても旗本たちを暴君薩摩の手から救出したり、正義感あふれる第三者が真犯人を捜す流れにはなりませんので、ご承知置き下さい。<br />
完全なとばっちりで捕まった旗本たちの中には、主従や友人、怨敵同士など、複雑な人間関係で結ばれた者が多数います。さらに偶然ながら、本当に官軍殺傷事件に関わった人物も実は捕らえられた旗本たちの中に…という、全体の十分の一くらいの分量でしかないクライマックスになる章で、ようやく10人が揃ってからが圧巻です。<br />
薩摩の中村半次郎の登場時の印象の良さや、その後彼が<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%90%E9%87%8E%E5%88%A9%E7%A7%8B" target="_blank">どうなったか</a>などを考えると、この人がむちゃくちゃをやったから全部悪い、とはとても思えません。この時代には、たまたま官軍という形で現れた激烈な運命としか呼びようのないものに引っかき回されて、しかし歴史の表舞台には何の傷跡も残すことなく終わる人々ですから、決して楽しい話ではない…ですが、事件に関わったもう一人の旗本が登場する終章で、全体の印象ががらりと変わります。まるまるハッピーエンドになるわけじゃありませんが、最後の最後まで読み終えて、やっと全体を語れるようになる本でした。<br />
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<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480428119/bibliothecdib-22/ref=nosim" target="_blank"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/51c7rEq3inL._SL160_.jpg" class="sonet-asin-image" alt="修羅維新牢 山田風太郎幕末小説集 (ちくま文庫)" title="修羅維新牢 山田風太郎幕末小説集 (ちくま文庫)"></a><br />
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      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>柳宗悦展　―暮らしへの眼差し―</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-01-20</link>
      <category>美術鑑賞</category>
      <pubDate>Fri, 20 Jan 2012 22:42:51 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-01-20</guid>  
      <description><![CDATA[<a href="http://www.mus-his.city.osaka.jp/" target="_blank">大阪歴史博物館</a>で柳宗悦展をみてきました。去年は<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-03-24" target="_blank">ひとり民芸年</a>など開催しておりましたので、その続きのような感覚です。<br />
収集品はもちろんのこととして、同人誌「白樺」に関わった時代の資料や愛用品も公開されているので、民芸についての仕事以外の柳さんの個人的な側面も興味深く拝見してきました。白樺派から出発したからお坊ちゃんかと思いきや、（この展覧会ではそんなに触れられていませんが）実はけっこう色んな方面と喧嘩をしているところが好きです。<br />
朝鮮半島の工芸品→木喰→日本各地の工芸品→少数民族の工芸品と、柳さんの仕事の全体像が眺められる展示になっているので、先に勉強していかなくても大丈夫です（私はちょっと勉強していたので、知ったような顔をして鑑賞することができました）。何となく見に来て気に入るものがあったら、そこから民芸なるものに足を踏み入れていただけそうですね。<br />
出品資料は約350点とのこと。全4ページの出品目録が嫌になるくらい小さな字でぎっしり書かれていますけれども、きれいなもの、面白いもの、かっこいいものを眺めているとあっという間でした。私の好きな丹波焼やバーナード・リーチも、ちゃんと出ていて大満足です。民芸というのは、本当に堅苦しさのない運動になっているところが良いですね。<a name="more"></a>]]></description>
      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>法月綸太郎『生首に聞いてみろ』（角川文庫）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19</link>
      <category>ミステリ</category>
      <pubDate>Thu, 19 Jan 2012 00:37:09 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19</guid>  
      <description><![CDATA[著名な彫刻家が病死の前に完成させた、娘をモデルにした石膏像の首だけが切断されて盗み出された。彫刻家の娘への殺人予告を警戒する家族は、法月綸太郎に調査を依頼するが…<br />
題名がどう見ても『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594029949/bibliothecdib-22/ref=nosim" target="_blank">なめくじに聞いてみろ</a>』のパロディなので気楽な話かと思ったら、驚きの本格ミステリでした。<br />
タイトルに「生首」とあるものの、実際に読んでみると注目されているのは終始一貫して人間ではなく石膏像の首の方です。被害者の身元はすぐに判明し、謎解きの焦点は最初から最後まで人間ではなく彫刻作品に向いているのがなかなか異色です。探偵の謎解きは普通のミステリの手順で進む一方で、章の冒頭には彫像に関する美術書からの引用文が入り、読者を美術の世界から離してくれません。結末でのある人物の嘆きがまるで悲劇の台詞のようで、最後まで美術作品のように決まっていました。<br />
美術ミステリが一般の注目を集めたり何かの賞を貰ったりするのは、ミステリとはあんまり関係ないんですけれども、美術鑑賞好きとしてちょっと嬉しいです。<br />
という具合で美術界を舞台にしているので、美術館やギャラリーの場面が多数出てくるのも、個人的な趣味と重なって面白かったです。行ったことのある美術館がそのまんま登場したときには、思わず顔がにやけました。美術鑑賞が好きで色々出かけてらっしゃる方は、そちらの描写も楽しいですよ。特に、鼻持ちならない美術評論家についてのくだりが。<br />
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<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4043803028/bibliothecdib-22/ref=nosim" target="_blank"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/51BDIVOjbdL._SL160_.jpg" class="sonet-asin-image" alt="生首に聞いてみろ (角川文庫 の 6-2)" title="生首に聞いてみろ (角川文庫 の 6-2)"></a><br />
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      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>沼田まほかる『九月が永遠に続けば』（新潮文庫）</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-01-16</link>
      <category>国内小説</category>
      <pubDate>Mon, 16 Jan 2012 22:32:53 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2012-01-16</guid>  
      <description><![CDATA[高校生の息子が、ある夜ゴミ捨てに出たまま佐知子の前から姿を消した。息子のクラスメートを巻き込んで佐知子は必死に捜索を続けるが、別れた夫の再婚相手とその娘の影が行く手にちらついて…<br />
登場人物が皆、異常な部分があると同時にどこかしら共感できる部分を持っているので、困ってしまいます。「何でこんな人たちがこんな理不尽な目に…」と「こんな連中はひどい目にあっても自業自得」のどちらにも行かせてもらえない、居心地の悪さと薄気味の悪さが強烈です。<br />
もう一つ気持ち悪さのレベルを上げているのは、語り手である主人公の目の前では、全然衝撃的な事件が起こらないことだと思います。大きな出来事は、みんな主人公（と読者）の居合わせない場所で発生して、こちらはそれを主人公の耳を通してあとから聞かされるだけ、というのは、ずっと続いていると相当にむずがゆくなってきます。それでも（または、それだからこそ）私は、ページをめくる手を止められませんでした。<br />
とにかく、どんな意味でも読後にすかっとする感じが一切ない小説なので、人にはすすめにくいところがあります。しかしながら、こうやって紹介したくなってしまう得体の知れない魅力は、確かにありました。<br />
<br />
<br />
松の内もとうに過ぎましたが、あけましておめでとうございます。<br />
今年もこんな感じで、季節感やその場の雰囲気をあまり気にせず、読んだものを紹介していこうと思っております。よろしくお願い致します。<br />
<br />
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      <author>elwing</author>
          </item>
        <item>
      <title>2011年・今年の10冊</title>
      <link>http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-12-31</link>
      <category>その他</category>
      <pubDate>Sat, 31 Dec 2011 15:49:12 +0900</pubDate>
      <guid isPermaLink="false">http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-12-31</guid>  
      <description><![CDATA[今年は大変な一年になりましたが、そんなときでも人は眠くなるしお腹が空くし、本を読みたくなるものです。<br />
ということで、毎年年末にやっている「私が今年読んだ中から選ぶ10冊」、2011年版をお送りします。<br />
10冊と銘打ちながら、屁理屈を付けて11冊以上にしようとするのも、毎年のことです。記事へのリンクを張っていますので、興味を持っていただいた方はそちらもご覧下さい。<br />
<br />
<br />
<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-01-25" target="_blank">ピーター・プレストン『51番目の州』</a><br />
<br />
<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-01-29" target="_blank">マックス・ビアボーム『ズリイカ・ドブソン』</a><br />
<br />
<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-03-09" target="_blank">マイクル・イネス『アララテのアプルビイ』</a><br />
<br />
<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-05-17" target="_blank">ショーペンハウアー『意志と表象としての世界〔Ｉ・ＩＩ・ＩＩＩ〕』</a><br />
<br />
<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-06-04" target="_blank">武田友宏編『太平記』</a><br />
<br />
<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-06-18" target="_blank">J・L・ボルヘス『七つの夜』</a><br />
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<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-07-20" target="_blank">グスタフ・ルネ・ホッケ『迷宮としての世界〔上・下〕』</a><br />
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<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-08-17" target="_blank">山田風太郎『戦中派焼け跡日記』</a><br />
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<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-10-08" target="_blank">村川堅太郎訳注『エリュトゥラー海案内記』</a><br />
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<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28" target="_blank">久世光彦『蕭々館日録』</a><br />
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・タイトルを言ってはいけないあの詩賞<br />
<a href="http://elwing.blog.so-net.ne.jp/2011-09-13" target="_blank">谷川俊太郎『夜のミッキー・マウス』</a><br />
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このようになりました。それでは皆さん、どうか良いお年を。<a name="more"></a>]]></description>
      <author>elwing</author>
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