新説 恐竜の成長(~6/3) [美術鑑賞]
大阪市立自然史博物館の「新説 恐竜の成長」展に行ってきました。テーマが恐竜の成長ということで、今まで大きさが違う別の恐竜だと考えられていたのは、実は同じ恐竜の成長過程だったのではないか…というお話が中心です。私が小さかった頃は、とにかく大きければすごいみたいな風潮があったのえ、こんな展覧会が一般向けに開かれるようになったのは、少し学問として落ち着いて来たような感じで嬉しいですね。
今回の目玉は、外見や動作まで再現した復元ロボットです。中でも、ティラノサウルスは実はハイエナやハゲタカのように動物の死体を食べていたんじゃないかという説に基づく食事中ティラノサウルスのロボットは、これまでにない凶悪な印象のカラーリングで大変怖かったです。化石だけでは恐竜の体の色はわからないので、こういう解釈も大有りだと思いますよ。「ティラノサウルスが死体を食ってた説は、なんか格好悪いので認めたくない」派の人も、これなら満足間違いなしです。
ちなみに私は、パキケファロサウルスは実は頭突きをしていなかったんじゃないか説が衝撃でした。それじゃあの丸い頭は、一体どういう事情があって出来たんでしょうね…この衝撃を表すのに「パキケファロサウルスに頭突き食らったみたいな気分」という表現も、もう使えなくなってしまうじゃないですか。
謎を残したまま、次にここの博物館で開催される恐竜関連の展覧会を楽しみにします。
今回の目玉は、外見や動作まで再現した復元ロボットです。中でも、ティラノサウルスは実はハイエナやハゲタカのように動物の死体を食べていたんじゃないかという説に基づく食事中ティラノサウルスのロボットは、これまでにない凶悪な印象のカラーリングで大変怖かったです。化石だけでは恐竜の体の色はわからないので、こういう解釈も大有りだと思いますよ。「ティラノサウルスが死体を食ってた説は、なんか格好悪いので認めたくない」派の人も、これなら満足間違いなしです。
ちなみに私は、パキケファロサウルスは実は頭突きをしていなかったんじゃないか説が衝撃でした。それじゃあの丸い頭は、一体どういう事情があって出来たんでしょうね…この衝撃を表すのに「パキケファロサウルスに頭突き食らったみたいな気分」という表現も、もう使えなくなってしまうじゃないですか。
謎を残したまま、次にここの博物館で開催される恐竜関連の展覧会を楽しみにします。
日欧のサムライたち(~5/6) [美術鑑賞]
大阪歴史博物館の「日欧のサムライたち オーストリアと日本の武器武具展」に行ってきました。何が目当てかというと、黒死館にあるような鎧を期待したからです。入って早々、ポスターにも使われている「貴人の四分の三身甲冑 ブラックアンドホワイトデザイン」が出てきたので、その点はもう大満足です。
サムライとか、刺激的な文字が目立つ割にとても真面目な展示でした。前半がオーストラリア・グラーツのエッゲンベルグ城編、後半が大阪城編という感じに分かれていて、それぞれでテンションが上がりました。そもそも近世ヨーロッパの鎧や戦争についてじっくり見る機会がなかったので、そこからして新鮮でしたよ。洋の東西で似たような戦術が用いられていたというのは面白いですね。
大阪城サイドは、けっこうな有名人愛用の品がぞろぞろ出てきて、そんなに日本史マニアでもない私も、心の中でしょちゅう歓声を上げていました。武将の装備品は美術品とはまた違った、実用性からにじみ出る美しさがあります。
ちょうどGW末までやっているので、お近くの方は家族連れでご覧になってはどうでしょうか。私はもう、黒死館にありそうな鎧(森にいそうな女の子=森ガールだそうなので、それにならって命名すると黒死館鎧)が見られたので文句なしです。
サムライとか、刺激的な文字が目立つ割にとても真面目な展示でした。前半がオーストラリア・グラーツのエッゲンベルグ城編、後半が大阪城編という感じに分かれていて、それぞれでテンションが上がりました。そもそも近世ヨーロッパの鎧や戦争についてじっくり見る機会がなかったので、そこからして新鮮でしたよ。洋の東西で似たような戦術が用いられていたというのは面白いですね。
大阪城サイドは、けっこうな有名人愛用の品がぞろぞろ出てきて、そんなに日本史マニアでもない私も、心の中でしょちゅう歓声を上げていました。武将の装備品は美術品とはまた違った、実用性からにじみ出る美しさがあります。
ちょうどGW末までやっているので、お近くの方は家族連れでご覧になってはどうでしょうか。私はもう、黒死館にありそうな鎧(森にいそうな女の子=森ガールだそうなので、それにならって命名すると黒死館鎧)が見られたので文句なしです。
草原の王朝 契丹(~6/10) [美術鑑賞]
大阪市立美術館で特別展「草原の王朝 契丹」を見てきました。
展覧会公式サイトでは、「美しき3人のプリンセス」という副題もついてちょっとだけ華やかな雰囲気なんですけれども、実際足を運んでみたらこれが実に地味で。市立美術館の建物の雰囲気も、渋さの演出を手伝っていたのかもしれません。私が契丹国を強く意識した経験というと、中野美代子『契丹伝奇集』(フィクション)くりのものですが、さてはて。
感想を申し上げますと、めったにないテーマということもあって展示はどれも目新しく、とても楽しく鑑賞させていただきました。個人的には、プリンセスより墓所を前面に押し出していただいた方が心引かれたように思います。
今回の展示は10~12世紀、日本では平安時代に栄えた契丹の美術品や副葬品が中心です。見ていると日本と全然接点がなくて、これは普段我々が契丹となじみがないのも道理だと思いました。このなじみの薄さが幸いして(?)、出ている作品がどれも目新しいことと言ったら。中央アジア~東アジアに至る広大な帝国だったので、ロシアから中国、ヨーロッパの端っこくらいの文化までが全部入っているみたいです。これまで知っている色々な文化と頭の中で比べながら見ていくうちに、今まで詳しく知らなかったけど、昔アジアに大変スケールの大きな国があったことがだんだんわかってきました。
この展覧会は、この後夏から東京にも巡回します。
契丹がこんなに大きく取り上げられる機会はもう二度とないかもしれないので、ぜひ見に行っておいて下さい。
展覧会公式サイトでは、「美しき3人のプリンセス」という副題もついてちょっとだけ華やかな雰囲気なんですけれども、実際足を運んでみたらこれが実に地味で。市立美術館の建物の雰囲気も、渋さの演出を手伝っていたのかもしれません。私が契丹国を強く意識した経験というと、中野美代子『契丹伝奇集』(フィクション)くりのものですが、さてはて。
感想を申し上げますと、めったにないテーマということもあって展示はどれも目新しく、とても楽しく鑑賞させていただきました。個人的には、プリンセスより墓所を前面に押し出していただいた方が心引かれたように思います。
今回の展示は10~12世紀、日本では平安時代に栄えた契丹の美術品や副葬品が中心です。見ていると日本と全然接点がなくて、これは普段我々が契丹となじみがないのも道理だと思いました。このなじみの薄さが幸いして(?)、出ている作品がどれも目新しいことと言ったら。中央アジア~東アジアに至る広大な帝国だったので、ロシアから中国、ヨーロッパの端っこくらいの文化までが全部入っているみたいです。これまで知っている色々な文化と頭の中で比べながら見ていくうちに、今まで詳しく知らなかったけど、昔アジアに大変スケールの大きな国があったことがだんだんわかってきました。
この展覧会は、この後夏から東京にも巡回します。
契丹がこんなに大きく取り上げられる機会はもう二度とないかもしれないので、ぜひ見に行っておいて下さい。
柳宗悦と丹波の古陶(~5/27) [美術鑑賞]
兵庫陶芸美術館の「柳宗悦と丹波の古陶」に行ってきました。丹波焼というのは、日本六古窯の中では断然知名度の劣る大変地味なやきもので、「雪のような白」とか「鮮やかな発色の青」といったものとは全く縁がありません。土の色に釉薬をかけて上から灰が降ってきたくらいのシンプルな意匠で、最近の作品にはパステル超のかわいらしい器もあるとは言え、今回の出品作品に関してはまあ地味なこと地味なこと。
こんな地味な展覧会に、一緒に見に行く友人を二人も捕まえられたのは望外の喜びです。面白い趣味の友人は持つものです。
ここまで「地味」という単語を既に4回使ってしまうくらいの渋い企画なのも当然で、表題の通り柳宗悦さんが晩年にはまった丹波焼のコレクションが中心になっています。この地方は土もあまり良くないし、やきもの作りには決して恵まれた環境でなかったことからこうした渋い渋い作品が生まれたわけで、なるほどこう言われてみると、柳さんの好みにあったのもわかる気がします。
やきものに関しては、具体的な何かの絵が描いてあるとついそちらを見てしまうので、普段家で使うなら絵のない、釉薬の味わいで楽しむものがいつの間にかお気に入りになっていました。そんな流れで私が丹波焼をやたら気にするようになったのは比較的最近なんですけれども、柳さんもお気に入りだったと知った時はちょっと嬉しかったです。趣味の近い人がいると、その人の好きなものも見てみたくなって自分の趣味が広がり、結果としてさらに好きなものが増えることもよくありますからね。
こんな地味な展覧会に、一緒に見に行く友人を二人も捕まえられたのは望外の喜びです。面白い趣味の友人は持つものです。
ここまで「地味」という単語を既に4回使ってしまうくらいの渋い企画なのも当然で、表題の通り柳宗悦さんが晩年にはまった丹波焼のコレクションが中心になっています。この地方は土もあまり良くないし、やきもの作りには決して恵まれた環境でなかったことからこうした渋い渋い作品が生まれたわけで、なるほどこう言われてみると、柳さんの好みにあったのもわかる気がします。
やきものに関しては、具体的な何かの絵が描いてあるとついそちらを見てしまうので、普段家で使うなら絵のない、釉薬の味わいで楽しむものがいつの間にかお気に入りになっていました。そんな流れで私が丹波焼をやたら気にするようになったのは比較的最近なんですけれども、柳さんもお気に入りだったと知った時はちょっと嬉しかったです。趣味の近い人がいると、その人の好きなものも見てみたくなって自分の趣味が広がり、結果としてさらに好きなものが増えることもよくありますからね。
柳宗悦展 ―暮らしへの眼差し― [美術鑑賞]
大阪歴史博物館で柳宗悦展をみてきました。去年はひとり民芸年など開催しておりましたので、その続きのような感覚です。
収集品はもちろんのこととして、同人誌「白樺」に関わった時代の資料や愛用品も公開されているので、民芸についての仕事以外の柳さんの個人的な側面も興味深く拝見してきました。白樺派から出発したからお坊ちゃんかと思いきや、(この展覧会ではそんなに触れられていませんが)実はけっこう色んな方面と喧嘩をしているところが好きです。
朝鮮半島の工芸品→木喰→日本各地の工芸品→少数民族の工芸品と、柳さんの仕事の全体像が眺められる展示になっているので、先に勉強していかなくても大丈夫です(私はちょっと勉強していたので、知ったような顔をして鑑賞することができました)。何となく見に来て気に入るものがあったら、そこから民芸なるものに足を踏み入れていただけそうですね。
出品資料は約350点とのこと。全4ページの出品目録が嫌になるくらい小さな字でぎっしり書かれていますけれども、きれいなもの、面白いもの、かっこいいものを眺めているとあっという間でした。私の好きな丹波焼やバーナード・リーチも、ちゃんと出ていて大満足です。民芸というのは、本当に堅苦しさのない運動になっているところが良いですね。
収集品はもちろんのこととして、同人誌「白樺」に関わった時代の資料や愛用品も公開されているので、民芸についての仕事以外の柳さんの個人的な側面も興味深く拝見してきました。白樺派から出発したからお坊ちゃんかと思いきや、(この展覧会ではそんなに触れられていませんが)実はけっこう色んな方面と喧嘩をしているところが好きです。
朝鮮半島の工芸品→木喰→日本各地の工芸品→少数民族の工芸品と、柳さんの仕事の全体像が眺められる展示になっているので、先に勉強していかなくても大丈夫です(私はちょっと勉強していたので、知ったような顔をして鑑賞することができました)。何となく見に来て気に入るものがあったら、そこから民芸なるものに足を踏み入れていただけそうですね。
出品資料は約350点とのこと。全4ページの出品目録が嫌になるくらい小さな字でぎっしり書かれていますけれども、きれいなもの、面白いもの、かっこいいものを眺めているとあっという間でした。私の好きな丹波焼やバーナード・リーチも、ちゃんと出ていて大満足です。民芸というのは、本当に堅苦しさのない運動になっているところが良いですね。
世界制作の方法(~12/11) [美術鑑賞]
国立国際美術館で「世界制作の方法」展を見てきました。現代美術の展覧会に良くある話として、ひとつひとつの展示が場所を取るので出展作家は6人と3組。しかしこれはすごいと思う人たちを1人と1組も見つけたので、打率で言えば二割二分二厘ではありますが、もう大満足です。観覧料一般850円の元は十分取りました。展覧会の名前は同名の哲学書から取られたそうで、このタイトルもまたかっこいいです。
まず入って早々にやられたと思ったのがパラモデル。白い部屋の一面(壁・天井を含む)にプラレールを張り巡らせたインスタレーションで、なるほどこれも「世界」の作り方かと一目で納得させられました。素材がリアルな鉄道模型やジオラマというのではなく、そこら辺に落ちているパーツを拾って繋げたくなるようなプラレールであるところがすばらしいです。線路を目で追っていくと、何ということもない駅や車庫のパーツで視線を止めて、ここはどういう駅だとか想像してしまいました。
次に立ち止まったのはクワクボリョウタさんという人の部屋で、「10番目の感傷(点・線・面)」。この表題がまずかっこいいじゃないですか。真っ暗な部屋の中に光源を乗せた鉄道模型が走っていて、線路の周囲に配置されたオブジェの前を通過すると、壁に色々な影が映って見ていて面白い…というインスタレーション(とにかく面白かったのでこういう感想になります)で、私には経験がありませんが、「夜の果てへの旅」というのはこんな感じだろうと思います。
この人たちについては、もしどこかの展覧会でまた名前を見つけたら絶対に行ってしまいますね。私の場合、どうも現代美術の印象は、まず「面白い」が最初に来ていたところを、今回まさかの「かっこいい」という選択肢を見つけた感じです。
また、同時に「中之島コレクションズ」と題した、大阪市立近代美術館(仮)と国立国際美術館の収蔵品展も開催されており、佐伯祐三にピカソ、モディリアーニ、カンディンスキーなど現代作家が多数見られます。大阪市立近代美術館は、国立国際美術館の隣に平成29年度会館を目指して整備中とのことですが、大阪市には悪いんですけれども後6年で出来るとはあまり思っていません。『サラゴサ手稿』と言い、私の心待ちにしているものはたいてい嫌になるくらい延び延びになるので、気長に待ちますよ
まず入って早々にやられたと思ったのがパラモデル。白い部屋の一面(壁・天井を含む)にプラレールを張り巡らせたインスタレーションで、なるほどこれも「世界」の作り方かと一目で納得させられました。素材がリアルな鉄道模型やジオラマというのではなく、そこら辺に落ちているパーツを拾って繋げたくなるようなプラレールであるところがすばらしいです。線路を目で追っていくと、何ということもない駅や車庫のパーツで視線を止めて、ここはどういう駅だとか想像してしまいました。
次に立ち止まったのはクワクボリョウタさんという人の部屋で、「10番目の感傷(点・線・面)」。この表題がまずかっこいいじゃないですか。真っ暗な部屋の中に光源を乗せた鉄道模型が走っていて、線路の周囲に配置されたオブジェの前を通過すると、壁に色々な影が映って見ていて面白い…というインスタレーション(とにかく面白かったのでこういう感想になります)で、私には経験がありませんが、「夜の果てへの旅」というのはこんな感じだろうと思います。
この人たちについては、もしどこかの展覧会でまた名前を見つけたら絶対に行ってしまいますね。私の場合、どうも現代美術の印象は、まず「面白い」が最初に来ていたところを、今回まさかの「かっこいい」という選択肢を見つけた感じです。
また、同時に「中之島コレクションズ」と題した、大阪市立近代美術館(仮)と国立国際美術館の収蔵品展も開催されており、佐伯祐三にピカソ、モディリアーニ、カンディンスキーなど現代作家が多数見られます。大阪市立近代美術館は、国立国際美術館の隣に平成29年度会館を目指して整備中とのことですが、大阪市には悪いんですけれども後6年で出来るとはあまり思っていません。『サラゴサ手稿』と言い、私の心待ちにしているものはたいてい嫌になるくらい延び延びになるので、気長に待ちますよ
金沢の印象 [美術鑑賞]
タイトルの元ネタは『アフリカの印象』ですが、書いていることは普通の感想文です。先日ふらりと金沢まで一泊旅行に行って来ました。行ってきた場所は兼六園、金沢21世紀美術館、泉鏡花記念館、徳田秋声記念館、室生犀星記念館、石川四高記念文化交流館、長町武家屋敷跡…と、振り返ると文学館めぐりみたいなことになっていました。
美術の話をしますと、金沢21世紀美術館、これは今どんな展覧会をやっているかにかかわらず行ってみたかったんですね。開かれた美術館って一体どんなものか、本当に写真みたいな不思議な建物が町中にどーんと存在しているのか、と。実際おなじみの写真の通りの建物が眼の前に現れた時は、ちょっと感動しました。あれがいつも通勤通学の途中で見かける風景の中にあって、公園にふらっと立ち寄って休憩するような気分で足を運んだり、人と待ち合わせや打ち合わせをするのに使ったりできる日常があるというだけで、金沢の人がうらやましくなりました。
金沢三文豪の記念館は、どれも落ち着いた立地にあってゆっくり雰囲気を楽しむことができました。展示を見終わったら、用事がなくてもしばらく休憩していくのがおすすめです。三軒回ってみて面白かったのは直筆原稿で、鏡花の(特に初期の)原稿の絶句するような文字は前から知っていましたけれども、犀星の字がたいそうかわいらしく、さすが金魚大好きおじさん、といたく感心しました。
金沢は他にも明治以降の渋い建物がたくさんあり、最近鈴木大拙館などもできて、また行ってみたい街になっています。この鈴木大拙館、四角いと思ったらやっぱり谷口吉生さんの設計だそうで。金沢の今後に引き続き注目しています。
美術の話をしますと、金沢21世紀美術館、これは今どんな展覧会をやっているかにかかわらず行ってみたかったんですね。開かれた美術館って一体どんなものか、本当に写真みたいな不思議な建物が町中にどーんと存在しているのか、と。実際おなじみの写真の通りの建物が眼の前に現れた時は、ちょっと感動しました。あれがいつも通勤通学の途中で見かける風景の中にあって、公園にふらっと立ち寄って休憩するような気分で足を運んだり、人と待ち合わせや打ち合わせをするのに使ったりできる日常があるというだけで、金沢の人がうらやましくなりました。
金沢三文豪の記念館は、どれも落ち着いた立地にあってゆっくり雰囲気を楽しむことができました。展示を見終わったら、用事がなくてもしばらく休憩していくのがおすすめです。三軒回ってみて面白かったのは直筆原稿で、鏡花の(特に初期の)原稿の絶句するような文字は前から知っていましたけれども、犀星の字がたいそうかわいらしく、さすが金魚大好きおじさん、といたく感心しました。
金沢は他にも明治以降の渋い建物がたくさんあり、最近鈴木大拙館などもできて、また行ってみたい街になっています。この鈴木大拙館、四角いと思ったらやっぱり谷口吉生さんの設計だそうで。金沢の今後に引き続き注目しています。
インド ポピュラー・アートの世界(~11/29) [美術鑑賞]
国立民族学博物館で「インド ポピュラー・アートの世界」を見てきました。ヨーロッパの古城の上をヒンドゥー教の天女が飛んでいるコラージュがあまりにもすごかったので見に行ったですが、なかなか笑ってばかりもいられないシリアスな背景があり、興味深く鑑賞しました。
19世紀インドのポピュラー・アートの誕生から現代に至るまで、まんべんなく人気なのがクリシュナ(肌が青いのですぐわかります)。名画の一場面に登場したり映画スター風ピンナップになったり、いつの時代も忙しい神様です。クリシュナ以外にも、西欧の図像にそのままインドの出版物の図案を合成するエルンスト先生も仰天のコラージュ作品が並んでいました。明らかに遠近法がおかしいとか、風景と人物の大きさの比率がヘンだとか、「それはちょっと無茶だろう」と心の中で突っ込みながら見ると楽しいです。
これらの作品が一大ジャンルとして育ったのは、西欧文明との遭遇があったからで、植民地時代の宗主国からの影響も少なからず見受けられるわけです。が、インドの女性が西欧の風景の中で楽しそうにしている絵を作ったインドのセンスは、後にナショナリズムと混じり合った結果、独立運動家が自分の首を神々に捧げる画像を生み出してもいるので、こいつら強引だなぁと面白がって見ているだけでは終わりませんでした。ポピュラー・アートの世界を見る限り、文化面精神面については、イギリスは全然インドを侵略できていなかったのだろうと思わされました。
19世紀インドのポピュラー・アートの誕生から現代に至るまで、まんべんなく人気なのがクリシュナ(肌が青いのですぐわかります)。名画の一場面に登場したり映画スター風ピンナップになったり、いつの時代も忙しい神様です。クリシュナ以外にも、西欧の図像にそのままインドの出版物の図案を合成するエルンスト先生も仰天のコラージュ作品が並んでいました。明らかに遠近法がおかしいとか、風景と人物の大きさの比率がヘンだとか、「それはちょっと無茶だろう」と心の中で突っ込みながら見ると楽しいです。
これらの作品が一大ジャンルとして育ったのは、西欧文明との遭遇があったからで、植民地時代の宗主国からの影響も少なからず見受けられるわけです。が、インドの女性が西欧の風景の中で楽しそうにしている絵を作ったインドのセンスは、後にナショナリズムと混じり合った結果、独立運動家が自分の首を神々に捧げる画像を生み出してもいるので、こいつら強引だなぁと面白がって見ているだけでは終わりませんでした。ポピュラー・アートの世界を見る限り、文化面精神面については、イギリスは全然インドを侵略できていなかったのだろうと思わされました。
岸田劉生展(~11/23) [美術鑑賞]
大阪利室美術館で「生誕120周年記念 岸田劉生展」を見てきました。私が岸田さんに興味を持ったのは、山田風太郎のさる短篇にちょっとだけ登場していたことがきっかけです。(どれに出てくるかを言ってしまうとネタバレなので、内緒です)あれがなかったら見に来ようと思わなかったですよ、きっと。
岸田劉生と言えば、10人10人が連想すると思われる「麗子像」。娘さんを描いたこのシリーズは正直なところ、印象としましてはあまりにもかわいらしさより薄気味の悪さが目に付くので、モデルの女の子が思春期になったら辛くはないだろうかといらん心配をしていました。今回の展覧会では、初めて「麗子十六歳之像」を目にすることができまして、これは幼少時の絵とは違ってふつうの、落ち着かない雰囲気もなく地に足の付いた感じの写実的な少女像だったので、誰のためにということもありませんが何だかほっとしました。
Wikipediaにも載っている「道路と土手と塀(切通之写生)」という作品の、画面の真ん中に寝そべるような上り坂の存在感がとても気に入りました。岸田さんは印象派の影響を受けた画風から出発した人ですが、今回の展覧会では驚いたことに少しだけ日本画も出品されていました。また、白樺派とかバーナード・リーチと交流があり、雑誌の装丁も手がけているなど、色んな事に興味を持つ人だったようです。晩年は中国を旅したりもしていますし。その後無茶な生活をして体を壊して38歳でなくなってしまうんですけれども、心身がもう少し丈夫で長生きしてらしたらどんな作品を作っていたのかと思わずにいられません。
岸田劉生と言えば、10人10人が連想すると思われる「麗子像」。娘さんを描いたこのシリーズは正直なところ、印象としましてはあまりにもかわいらしさより薄気味の悪さが目に付くので、モデルの女の子が思春期になったら辛くはないだろうかといらん心配をしていました。今回の展覧会では、初めて「麗子十六歳之像」を目にすることができまして、これは幼少時の絵とは違ってふつうの、落ち着かない雰囲気もなく地に足の付いた感じの写実的な少女像だったので、誰のためにということもありませんが何だかほっとしました。
Wikipediaにも載っている「道路と土手と塀(切通之写生)」という作品の、画面の真ん中に寝そべるような上り坂の存在感がとても気に入りました。岸田さんは印象派の影響を受けた画風から出発した人ですが、今回の展覧会では驚いたことに少しだけ日本画も出品されていました。また、白樺派とかバーナード・リーチと交流があり、雑誌の装丁も手がけているなど、色んな事に興味を持つ人だったようです。晩年は中国を旅したりもしていますし。その後無茶な生活をして体を壊して38歳でなくなってしまうんですけれども、心身がもう少し丈夫で長生きしてらしたらどんな作品を作っていたのかと思わずにいられません。
特別展 OCEAN!(~11/27) [美術鑑賞]
大阪市立自然史博物館で開催中の特別展「OCEAN!」に行ってきました。テーマが「海はモンスターでいっぱい」ということで、古生物から食卓でおなじみの魚まで、とにかく海にいるもの/いたものがぞろぞろ登場。海が好きなら必見です。水族館好きなら間違いないですね、私はまたダイビングを扱ったゲームなんかやりたくなりました。
最近古生物ファンになりつつあるわたくしとしては、ついつい目が行くのは古生代~中生代の化石。今回のおすすめはダンクルオステウスという、身長10mくらいあったんじゃないかという魚です。サメと同様、体の大部分が軟骨で出来ているので、頭の化石しか見つかっていません。頭の骨は化石として残っているくらいなのでちゃんと硬くて、これが鎧みたいでかっこいいんですよ。
テンションが上がったのは首長竜の前身骨格の前で、その他にもアンモナイトがいろいろ出ていて見応えがありました。一抱えもありそうな大型のものですとか。それよりびっくりしたのは、何があってこんな巻き方をしたのか、というとんでもねぇ形のアンモナイトですね。一瞬、現代彫刻か何かかと思いました。
と、こんな感じで歩いてきて一番印象強かったのは、居並ぶ化石の中にプラスティネーション標本で展示されていたシーラカンスと、横の解説ボードに燦然と輝く「現生」の二文字でした。
最近古生物ファンになりつつあるわたくしとしては、ついつい目が行くのは古生代~中生代の化石。今回のおすすめはダンクルオステウスという、身長10mくらいあったんじゃないかという魚です。サメと同様、体の大部分が軟骨で出来ているので、頭の化石しか見つかっていません。頭の骨は化石として残っているくらいなのでちゃんと硬くて、これが鎧みたいでかっこいいんですよ。
テンションが上がったのは首長竜の前身骨格の前で、その他にもアンモナイトがいろいろ出ていて見応えがありました。一抱えもありそうな大型のものですとか。それよりびっくりしたのは、何があってこんな巻き方をしたのか、というとんでもねぇ形のアンモナイトですね。一瞬、現代彫刻か何かかと思いました。
と、こんな感じで歩いてきて一番印象強かったのは、居並ぶ化石の中にプラスティネーション標本で展示されていたシーラカンスと、横の解説ボードに燦然と輝く「現生」の二文字でした。





