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没後40年 幻の画家 不染 鉄(~11/5) [美術鑑賞]

不染鉄(ふせん・てつ)という画家さんです。東京に生まれて日本画を学び、伊豆大島で漁師になったり帝展に入選したり絵の学校を首席で卒業したり、不思議な経歴のある不思議な日本画を描く人で、現在奈良県立美術館で回顧展をやっているんです。
わたくしはお名前もまったく聞いたこともない人だったのですが、たまたま目にした富士山がこれまで見たこともないような姿をしていたので気になって気になってつい行ってきてしまいました。
材質や題材はこれ以上ないくらい日本画ですし、水墨画や南画っぽい作品もたくさんあって、確かに日本画の伝統にのっとった画家さんだと思うんですけれども、薬師寺の東塔や富士山や自転車をああいう風に描いている人はちょっと記憶にありません。ガラスケースに横たわる堂々たる絵巻物かと思いきや、細かな字で書き込みがしてある手紙だったときにはちょっと度肝を抜かれました。1976年になくなった方ですから十分に現代画家と呼べるはずですが、あまりにカジュアルでマイペースで身近な雰囲気の人です。
それなのに風景画はまるでこの世のものではないようで、特にわたくしは薬師寺を題材にした一連の作品の前でしばらくぼうっとしていました。色んな人に知っていただきたい、そして作品にびっくりしたい名前が読めなくて戸惑ったりしていただきたい画家さんでした。
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奈良 西大寺展(~9/24) [美術鑑賞]

あべのハルカス美術館の「奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝」に行ってきました。
西大寺ほか奈良の寺院にある鎌倉時代の仏像がメイン、前期後期でなかなかの数の展示が入れ替えされます。このあたりのお寺は名前もよく聞きますし行ったことのある場所もあるので、思いがけず身近なところから素敵なものを見せていただいた気持ちです。
わたくしは鎌倉期の仏像だけでなく人物の彫像も大好きなのですが、複数のバージョンで展示されていた興正菩薩坐像(中興の祖・叡尊)がいずれも見事でした。当時の人々に大変尊敬されていたことも伝わってきますしご本人の顔立ちも立体でよくわかります。とにかく眉毛が長くて見事にハの字にたれていたことが伝わってきました。
また、浄瑠璃寺の吉祥天立像もこの世のものでないように美しくてすばらしかったのですが、大阪会場8/6で公開終了とのことですので今後別のところで見られる機会を待って下さい。
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宝刀展VI 伝説の太刀 髭切(~8/31) [美術鑑賞]

北野天満宮の「宝刀展VI 伝説の太刀 髭切」を見てきました。受験のときにお参りしたことがないので初めての天神さんです。生涯の夢のひとつ「天神さんに行きたい」を達成しました。
さて、なんで神社にそんなにたくさん、展覧会が6回できるほど刀があるかというと奉納されるからですね。こちらは千年以上も続いている神社ですからいろんな人が持ってきた刀があるわけで、いちいちエピソードに説得力があります。たとえば今回の目玉になっているのは渡辺綱が鬼の腕を切り落とした刀ですよ。他にもいかにも切れそうな伝説のある刀が並んでいて、これはフィクションではと思われる逸話もありますけれども、こういうのは物語がセットになっている名刀であるというのに意味があるので、わたくしは真偽はあまり問題とは思わないのです。刀としていいものでなくちゃいくら面白い伝説があっても重要文化財にはなりませんでしょうし、平安時代の刀が見事に残っているだけで心が豊かになります。
近くでよく見ると確かに刃の表面が違っていて、それが各地の刀鍛冶の作風だったりするわけで、そのあたりの違いや自分好みのを見つけるにはまだまだ色々みないといけませんね。平安時代のものから明治時代につくられた新しいものまで、もちろん鞘とか箱とか付属品も見応えがあります。わたくし個人に付随するエピソードとしましては、切っ先の欠けた刀で太平記のワンシーンを思い出してテンションが上がりました。
美術館みたいなきっちりした空調のある施設ではなく神社の宝物殿なので、窓を全開にして空気を入れつつ扇風機を回して、その中に刀や薙刀や鎧がたくさん並んでる展示空間です。靴を脱いで上がって、ぺたぺた歩いて風を浴びつつ刀を見て回るのはなかなか新鮮でございました。
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ブリューゲル「バベルの塔」展(~10/15) [美術鑑賞]

国立国際美術館ブリューゲル「バベルの塔」展に行ってきました。
タイトルのブリューゲルの塔はより上の階まで完成しているほうで、思っていたより大きかったのですがそれでも近づいてわかる細かさに圧倒されました。建築資材を運ぶクレーン、中ほどの階層に設けられた境界らしき窓、石灰や赤レンガで変色した壁、無数に描き込まれた数ミリしかない人々、最上階の骨組みなど、物語を忘れて見入ってしまいます。たくさんの人がいる画面からあるキャラクターを探し出す絵本みたいな趣があります。
そのほかにも16世紀ネーデルラント美術の傑作がぞろぞろ来ていて、中でもヒエロニムス・ボスの存在感はちょっとすごいです。ボス自身の作品は怪物の姿が(さほど前には)出てこない油彩画二点ですが、その後登場した彼の画風を模倣する作品群はばけもの満載で、そんなボスに基づく作風だったころのブリューゲルの版画もたくさん見られます。
そんな調子でボスとブリューゲルに圧倒される展示ですが、作者不詳の彫刻作品が個人的には面白かったです。信仰に直結するものですからあまり出てきませんけれども、四点並んで見応えがありました。

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ハンガリーの名窯 ヘレンド(~7/30) [美術鑑賞]

大阪市立東洋陶磁美術館の特別展「ハンガリーの名窯 ヘレンド」に行ってきました。
ヘレンドはハンガリー南西部の小さな村で、19世紀から磁器の生産が始まり、先行する各地の磁器に学んでほどなく高い水準に達したそうです。ハンガリーの小さな村と書きましたけれども、参考資料として出ている地図がヨーロッパ全体を網羅する勢いでしたからね。
ヨーロッパの富裕層や王侯貴族に愛された磁器ですから、どれをとっても驚くような美しさです。陶磁最先端の技術じゃないですかね、色も実に鮮やかなんですよ。彩色だけでなく造形もおもしろくて、編み目の透かし彫りやなんだかよくわからない生き物がたくさん見られました。美しいだけでなく、現在のわたくしたちからすると見ていて楽しい作風でもあります。
また、びっくりするほど中国~日本のやきものを意識した作品が多かったです。そのまま伊万里風なのもありますし中国っぽい様式や色使いなど、当時のブームが痛感されます。量は少ないのですが第二次大戦後の国有化された時代、そして現代のヘレンド窯の作品はまた別の意味で興味深い展示でした。
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ベルギー 奇想の系譜(~7/9) [美術鑑賞]

兵庫県立美術館の「ベルギー 奇想の系譜」展に行ってきました。
15世紀フランドル絵画から始まり象徴派と表現主義、20世紀のシュルレアリズムを経て現代美術に至るまで、ベルギーの美術は人気ジャンルが目白押しです。一人だけで特別展が開催できる人気作家もたくさんいて、それらを通して見られるのはすごく貴重な機会ですよ。行かない理由がありません。
入って早々、最近ではきもちわるくてかわいいキャラとして大人気のボスとその影響を受けた作品群に出迎えられます。なんだかげてものみたいなイメージで見られがちですけれども、これだけ広まったしブリューゲル(父)にも影響を与えていますから当時には一般的に大人気だったんですよね。象徴派にさしかかると雰囲気はがらりと変わり、仮面でおなじみジェームズ・アンソールを挟んでシュルレアリズムの章に到着します。この世ならぬもの、不可思議なものを描き出す想像力は受け継がれながらも現実を超えるところまでたどり着く、ひとつの地域でこれだけ脈々と続く流れがあるのはほんとうに大したものですね。
現代美術はヤン・ファーブルを筆頭にまた新しい顔を見せはじめ、さらに伝統的絵画を引き継ぐ作品も出ていてこれからも目が離せません。ずっと未来まで見守りたい国です。
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木×仏像(~6/4) [美術鑑賞]

大阪市立美術館の特別展「木×仏像」に行ってきました。
タイトルのとおり木彫仏のみを特集する展覧会で、材質や技法にも注目した解説が興味深いです。時代も飛鳥時代から江戸時代まで幅広く、仏像そのものの作風の変遷を見ることもできます。
木彫仏ならではの注目ポイントとしては、わかりやすい例を展示しての技法の説明が面白かったです。木材の乾燥による亀裂を防ぐための内刳りというのは、聞いたことはありますけれどもあんなにごりごり中をくりぬくものだとは知りませんでしたし、木造だからこそ可能になった寄木法も昭和になってから作られた標本でじっさいの構造を見せてもらえます。他にもよく用いられる木材に触れたり重さを比べたりできるコーナーもあり、桐が明らかに他より軽い!なんて体験もできました。
特別な由来のある材料が使われている例も出ていたのですが、木材が採取された場所までわかるのは珍しいというのが少々意外でございました。そんな中「閻魔王の宮殿の松で作られた」像というのがありましてこれはぜひその筋の方にご覧いただきたいと思います。仏像のほかにも、円空の秋葉権現など素敵なものが出ていましたよ。
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特別展 海北友松(~5/21) [美術鑑賞]

京都国立博物館海北友松展に行ってきました。
とにかく建仁寺の雲龍図がすばらしかったので世界中に見ていただきたいです。じっさいの配置を模しての展示となっていて、目を奪われるスケールの大きさ、二面にそれぞれいる龍の顔の違い、吹き荒れる風や雲の表現まで圧倒されっぱなしです。明るいところで一人で見たら正気でいられないんじゃないかと思います。
五十代までは狩野派にいて、その後独立してから頭角を現した人だそうです。キャリアは長いですから技巧はもちろんすぐれているんですけれども、そこからあのとんでもない迫力の龍が生まれたきたのはどういうことかと考えるとやっぱりただならぬ絵師です。活動時期がちょうど桃山時代と重なり、大坂夏の陣直後に没する、戦国時代末期を京都で生きた人だというイメージが似合います。
その他もっと穏やかな筆致の水墨画、がらりと雰囲気の違う写実的な花卉図まで出てくる大変に気合いの入った特別展です。ここの博物館の開館120周年記念でもありますから見に行かない手はありません。

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ピエール・アレシンスキー展(~4/9) [美術鑑賞]

国立国際美術館ピエール・アレシンスキー展に行ってきました。1927年生まれですから今年で90歳になる方ですけれども二年前の作品が出てるんですよ。ベルギーの横尾忠則みたような人ですね。
1950年代に日本の前衛書道に触れ、来日して映画も撮っているんですけれども、床に紙を置いて描かれた作品群は書道っぽいところもありますしベルギーの伝統的な芸術の血を引いていることも感じさせます。初期の作品は明らかにアンソールをリスペクトしていますし、前衛美術といっても何となく具象絵画の味わいが残されていて、何があるのかまったくわからないという画家さんではありません。画面が大きくて色合いもはなやかで、意味はわからなくても絵本のように眺めて楽しめます。
とにかく色んなものを試していらっしゃって、マンホールの拓本とか古い郵便物や地図がキャンバスとして用いられることもあります。最近の作品では直径一メートルを超えてそうな丸いキャンバスに描かれたものもあって、全然知らない画家さんだったのにとても楽しく拝見しました。
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クラーナハ 五百年後の誘惑(~4/16) [美術鑑賞]

国立国際美術館の「クラーナハ 五百年後の誘惑」に行ってきました。
何が驚いたかって、びっくりするくらいできるビジネスマンだったことですよ。宗教改革の出発点となったヴィッテンベルクの宮廷画家であり、ルターと個人的な付き合いもあって肖像画を多数描いているルカス・クラーナハ(父)ですが、それはそれとしてローマ教会サイドのための絵もたくさん残しているんですよね。大きな工房を構えて仕事をしていた人気画家ですから当たり前なんですけれども、ルター派のイメージが強くなっていたものでちょっと衝撃を受けました。
「ホロフェルネスの首を持つユディト」「ヴィーナス」など、よく見かける作品がいくつも来ているので気になっていた人には絶対に見逃せない展覧会です。すぐれた実業家でもあったわけですから、当時の画家の主な仕事である肖像画のお仕事についても見ることが出来るのがいいですね。あまり大きくない作品のほうが、精緻な描き込みぶりが堪能できてよろしいのではないかと思います。
あとは裸体像のへその描き方が現代日本における一般例と違うことが気になりました。昔のヨーロッパといっても医学的な事情はあまり関係なさそうなので土地柄かモデルさんの都合ですかね。
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