清水義範『大人のための文章教室』(講談社新書) [実用書]
で、今回はその中の最後の仕事の大人向け版。手紙の文章やサラリーマンの使う実用文に加え、こうしたブログで発表されることも多い随筆や紀行文のコツを多数提案してくれます。お手本や悪い見本として出てくる例文に、作者の新作や日常の文章がどっさり使われているのが読んでいて大変楽しい仕掛けになっていて、著者の目的通りの面白く読める本になっています。仕事の報告書を「北の国から」とか「プロジェクトX」ナレーション風で書いたら、それはいけませんよ。
その上パスティーシュの「文章読本風」ではなく、ちゃんと実際に使える文章教室になっているのが素晴らしい。電車の中で背広姿で堂々と読んでも大丈夫ですよ。

柳沢小実『フリペの楽しみ』(ピエ・ブックス) [実用書]
『リトルプレスの楽しみ』に続き、今回はフリーペーパーを取り上げています。街中のお店や駅でみかけるチラシですね。
個人が全くの趣味でひっそりと作っているものや経営しているお店に置いているもの、官製の広報誌まで幅広く収録されていますが、ページ内に凝縮されたデザインを眺めていると、観賞よりも手に取りたくなってしまっていけません。入手先も添えられているので(ウェブで取り寄せ、というのも多いですね)、ついオーダーしたくなってしまうのがどうにも…という場合のために(?)綴じ込み付録として、巻末には著者によるフリーペーパーがくっついています。
見ているだけで楽しい、では済まないで手に取りたくなってしまう、非常に危険な本です。写真に写っているペーパーの小さな小さな文字に、思わず目を凝らしてしまいましたよ…

『仏尊の事典 壮大なる仏教宇宙の仏たち』(学研) [実用書]
美術鑑賞と同じ視点で仏像も好きです。好きなタイプはガンダーラ顔、鎌倉期の作品群も彫刻として面白いと思います。で、先日奈良国立博物館の神仏習合展(既に終了)を見に行った時、ミュージアムショップで「そうだ、そろそろ仏像のガイド本を買おう」と思い立ち(それまでは我流で鑑賞していたわけですよ!)、入門向けの仏像の見方本でもないかと探索開始。手の形や装飾品から仏像の種類が見分けられるようになりたいので、その辺りが詳しい本を…と思っていたのに、何故かこんなものを購入していました。ちょうど展覧会で見たばかりの「垂迹神」の項目を目次に見つけてしまったことが敗因と思われます。
とりあえず、各種の仏様の分類と名前の読み方がまとめて展望できるのが非常にありがたい1冊です。さっき見てきたあの仏像の由来を知りたい、と思うことは多々ありますので。また、各章の終わりに著名仏像所蔵寺院一覧がついています。本文中の図版に飽きたらず、実物が見たくなったらいつでも行けるのも長所ですね。

長野伸江『賞賛語・罵倒語(ほめことば・けなしことば)辞典』(小学館) [実用書]
吉田一郎『国マニア 世界の珍国、奇妙な地域へ!』(交通新聞社) [実用書]
世界の小国、国のようで国でないような微妙な地域、嘘のようで本当にある不思議な国家のコレクション。有名どころでは香港、最近ニュースを騒がせた旧ソ連のあの国から聞いたこともない地名、世界史に出てきたあれまでさまざま。地理の副読本だったデータブック オブ・ザ・ワールドだったので、こういう本はただ地図と面積、人口を見るだけでも楽しくて仕方ありません。
それぞれの国家の成立にまつわる歴史や現在の状況は、全体的に眺めるととてもシリアス。植民地時代の影響や民族紛争の結果生まれた常識はずれの地図を眺めるのは、(そう言うものがあるとすれば)世界の小国史の様相があります。

コラン・ド・プランシー『地獄の辞典』(講談社) [実用書]
19世紀フランスの悪魔・魔神・迷信の集大成。10分の1程度の縮約版だそうですが、それでも結構な分量があります。
翻訳にあたっては図版のある項目を中心に採り、一般の読者にも楽しめるよう配慮されているものの、猟奇的な興味からはいまひとつ面白くないかもしれません。と言うのも、本書は悪魔を空想上の存在として鑑賞するのでもなければ観念として議論するのでもなく、世にはびこる迷信と戦うため、悪魔その他についての情報を伝えるために書かれたしごく真面目な書物であるからです。
悪魔の名前を1つ取り上げても、由来についての考察も象徴的な意味の解釈もなく、淡々と地獄における役職や特徴を書いて終わり、という項目の数々を眺めていると、これは実用書だとしみじみと思います。

クラフト・エヴィング商會『アナ・トレントの鞄』(新潮社) [実用書]
柳沢小実『リトルプレスの楽しみ』(ピエ・ブックス) [実用書]
『ニーチェからの贈りもの ストレスに悩むあなたに』(白水Uブックス) [実用書]
ニーチェの著作中の数々の言葉を、ストレスに苦しむ現代人への処方箋としての効用から収集し編集した実用本。
とにかく、ニーチェの言葉で元気になろう!という発想があまりに面白かったのでつい手に取ってしまいました。どの言葉をとっても、落ち込んだときには強烈に効きそうです。これは一度に大量に服用すると危険な薬です、本当に困った時にちょっと開いて、一言か二言を拾い読んですぐ寝る、という用法が効果的なのではないでしょうか。
実用書として読まずに、集められたメッセージを鑑賞する目的で読むと、一風変わったニーチェの入門書としても読めそうです。
ジョシュア・ペイビン/デビッド・ボーゲニクト『この方法で生きのびろ!』(草思社) [実用書]
カテゴリー「実用書」を追加しました。どのくらい増えるかは未定です。
日常生活や外出先で訪れる、さまざまな緊急事態への対処法をわかりやすくまとめた本です。で、一発目の見出しが「流砂に足をとられたとき」。この辺から本書の傾向を察していただければ幸いです。「足を骨折したとき」「車ごと水中に飛び込んだとき」等、覚えておいて損はないような知識が図解入りで解説されており、一家に一冊は必携。でもこの本に頼らざるを得ない事態にはなって欲しくないものです。
その他にも「ワニに襲われたとき」「飛行機を着陸させるとき」「走るバイクから車に飛び移るとき」等の実用的知識が満載。私がもっとも印象深いのは「建物からゴミ収集車に飛び降りるとき」です。興味深かったのは「大地震に遭遇したとき」の項目。日本では当たり前のことだと思っていた内容に、こうした形で出会うと不思議な気持ちがします。










