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ボンテンペッリ『鏡の前のチェス盤』(光文社古典新訳文庫) [幻想文学]

お仕置きとして閉じ込められた部屋の中、鏡に映ったチェスの駒に誘われて「鏡のこっち側」の世界に迷い込んだぼく。雄弁に物語る白の王さまをはじめとする駒たちや、かつて一度でも鏡に姿を映したことのある人々とともに不思議なできごとに巻き込まれ、元いた場所へ戻る手立てを探るが……
わたくしがボンテンペッリを知ったのは筑摩書房のアンソロジーで、おもしろい名前でおもしろい話を書く人だなぁというので印象に残っていたですが、まさか今になって新しい翻訳で読めるとは想像だにしませんでした。長生きはするものです。
鏡の向こうの世界に行ってしまう少年が主人公ですからどうしても『鏡の国のアリス』を連想してしまいますが、この主人公の冒険は当然ながらだいぶ趣が異なります。鏡の中に存在するチェスの王さまやしゃべるマネキンとの対話は、ナンセンスでありながらもどこか哲学的で読者をひやっとさせるものがあります。もともとは子ども向けのお話なんですけれども、漫画っぽくくすりと笑える挿絵に引きつけられてすらすら読んでいると、びっくりするような形で鏡の中から作者がこっちを見ているような気がするんですよ。

鏡の前のチェス盤 (古典新訳文庫)


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