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本堂平四郎『怪談と名刀』(双葉文庫) [幻想文学]

名刀にまつわる怪談、と言いますか主に化け物退治のエピソードを集めた連作です。羅生門の鬼とかそのくらいメジャーなやつは敢えて省いて、民間収蔵の刀を取り上げているのが新鮮です。
まずは刀にまつわる奇談を語り、それからそれぞれの章末で刀や刀工の来歴についても説明してくれる構成になっています。著者はじっさいに刀を手にすることもあった人なので、この解説の部分が実に楽しそうです。明治生まれの人でもありますけれども、文章はたまに会話が擬古文になるくらいでとても読みやすいです。
出てくる怪異はだいたい猛獣であったり化け猫であったりたまに怨念だったりして、どれも化け物はきっちり退治する昔話のような世界です。刀の来歴はしっかりした歴史に基づいているようなのに当たり前のように不思議な話がセットでついてくるんですよ。もっとも長い「藤馬物語」は幕末が舞台で、著者自身が面識のある人物が主人公なのですが、時代の流れに翻弄されるばかりかと思いきや終盤でいきなり化け物退治になります。
刀剣をテーマに絞っただけでこれだけ怪談が出てくるとは想像していなかったので大変興味深く読みました。刀はそうでもなくても妖怪に興味ある人にも楽しめそうです。

怪談と名刀 (双葉文庫)

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