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岡本綺堂『青蛙堂鬼談』(中公文庫) [幻想文学]

青蛙堂主人を名乗る紳士のもとに集められた参加者たちが順番に怪談を語る、百物語形式の短篇集です。
当時としてはまだ少し昔である江戸時代の話、あるいは語り手がじっさいに経験した怪異がたくさん出てくるので、なんともいえない実話っぽさがあります。実は元ネタがいろいろあって、主に中国の怪談をアレンジしているようなのですが、特に違和感なく日本の昔話のような気持ちで楽しめました。
ほのぼのと心温まるエピソードより、とにかくぞっとするお話が印象に残っています。怪異の原因がなんだったのか、はっきりと説明はされなくてもおぼろげに察しがつく回もありますけれども、まったく何なのかよくわからないまま終わる「猿の眼」は強烈です。特に大きな被害が出たわけではないのですが、とにかく怖いです。もともとこの会に集まった人々は怪談収集を本格的にやっているわけでもない一般市民の皆さんなので、隠された真相に迫る手段があるわけでもなく「その後どうなったかはわかりません」で平気で終わってしまうのも、本当にあったこわい話感を高めています。

青蛙堂鬼談 - 岡本綺堂読物集二 (中公文庫)


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