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佐藤さくら『魔導の系譜』(創元推理文庫) [幻想文学]

魔導士が虐げられている国ラバルタ。辺境の村で私塾をいとなむ魔導士レオンは旧知の人物の依頼で、才能に恵まれながらも魔導の教育を拒否する少年ゼクスをあずかる。やがてレオンの指導のもとでたぐいまれな能力を開花させたゼクスは王家直属の魔術研究機関へ招かれるが、そこでの出会いはラバルタの歴史を揺るがし、師弟の運命をも大きく変えてゆくことに……
世界設定から舞台となる国の歴史までじっくり描かれる渋めのファンタジーでございます。田舎の村はずれに暮らす三流魔導士レオンが仕方なく弟子を引き受ける圧倒的に地味な滑り出し、独自の手法で辛抱強く指導を続けるレオンとゼクスの日々があるときを境にしてがらりと変わり、ゼクスが自分の道を歩みはじめてから物語が大きく動き出します。出発点を思えばとても信じられないような場所へ、読者は主人公たちといっしょに運ばれることになります。
文庫一冊で全三部構成のみっしり中身が詰まった長篇小説です。三冊で書こうと思えばできそうなくらい濃密な、ある国の歴史の一幕を目撃した読後感がありました。この本の中に書かれたことがすべてではないし、書かれていない部分に無数の物語が存在するとわかる、そういう小説がどうにも好みでいけません。

魔導の系譜 (創元推理文庫)


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