So-net無料ブログ作成
検索選択

イーデン・フィルポッツ『灰色の部屋』(創元推理文庫) [ミステリ]

チャドランズ屋敷には、そこで一夜を過ごした人間が謎の死を遂げるといわれる開かずの部屋があった。部屋の謎に挑戦しようとした現当主の娘婿も同じく死因不明の遺体となって発見され、ついにロンドンから派遣された名探偵が調査を開始するのだが……
これはちょっとびっくりしますね。確かに密室状態で人が変死するんですけれども、だからって犯人捜しから隠された因果関係が明らかになって名探偵が真相を明らかにする、そういうスタイルの推理小説とは少し違いますね。もっと大きな分類に入れられる小説だと思うので、ふつうの英国小説の流れの中に置いて読んでいただきたいです。もうちょっとはっきり申し上げますと、犯人捜しのつもりで読むと壁に投げつけたくなる恐れがあります。
とはいえ読んでいるあいだは面白かったです。本格的な調査が始まり真相の解明に向かうかと思われた矢先に発生する思いがけない事件といい、過去から現在までつづく呪われた部屋のミステリといい、英国貴族社会のどことなくのどかな雰囲気と先が気になる展開が絡み合う味わい深い小説でした。最後もミステリだと思っていると肩すかしを食らうような、でもちゃんとびっくりする結末ですし。

灰色の部屋 (創元推理文庫)


nice!(2)  トラックバック(0)