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ノイロニムス・N・フリーゼル『ランゲルハンス島航海記』(博品社) [学術書]

古書の山から発見された、帝国軍艦ゼンドー号によるランゲルハンス群島探検の記録です。無名の著者の手により克明に記された、特異な文明が発達した島々の物語は読者に新鮮な驚きをもたらします。
という調子で全力で売り込みたい本なんですけれども、そもそもランゲルハンス島がどのあたりにあるのかと言いますと膵臓ですよ。あなたの体の中にもある膵臓です。ちょうどこの記事を書いている今現在「君の膵臓をたべたい」という映画をやっているのでタイムリーなネタでもあります。
そういうわけですから徹頭徹尾でたらめの航海記ですが、同時にいわゆる探検記や航海記の鋭いパロディになっているのが大切なポイントです。未開人の住む野蛮な島々を発見したような風を装っているものの、ランゲルハンス群島の国々には大学や司法機関や病院が存在しています。地名がことごとくどこかで聞いた気がする医学用語に酷似しているのもおかしくて、しかし読んでいるとだんだん笑えなくなってくる毒が随所にあります。
著者と翻訳者の大変な苦労がしのばれるあとがきを読むとさらに味わいが深まりますが、探検記のようでいて実はまったく関係ないことを延々としゃべっているようなテキストを、目を白黒させながら読み進めるのもそれはそれで楽しいものでした。

ランゲルハンス島航海記 (博物学ドキュメント)


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