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マーガレット・ミラー『まるで天使のような』(創元推理文庫) [ミステリ]

無人の山中に置き去りにされたアマチュアギャンブラーの青年クインは、一夜の宿を求めて〈塔〉と呼ばれる新興宗教の施設にたどり着く。そこで出会った修道女からある男の捜索を頼まれるが、目的の人物は五年前に謎の死を遂げていた。
このあと主人公のクインは、何の関わりもない修道女の依頼を捨て置けずにずるずると調査を続けてゆくことになります。あらすじだけ見るとふつうのハードボイルド・ミステリのようですが、じっさいに読んでいると全編になんともいえない嫌な空気がただよっているのが印象的です。
主な舞台が住民の動向が全員に知れ割っているような小さな町と宗教団体の施設で、その中を行ったり来たりしながらひたすら閉鎖的な世界での人間関係をつきつめてゆく展開ですから、そりゃ重苦しくもなりますよ。
次から次へと事件が起こったり、新たな事実が明らかにされて息つく暇もないかというとさほどではないんですけれども、序盤から中盤、終盤までまんべんなく不気味で重たい雰囲気が楽しめます。読んでる最中の気持ちも読後感もたいへん良くない、それを全編保っていられるんですからまちがいなく傑作ではあります。しんどいですが傑作です。

まるで天使のような (創元推理文庫)

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