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J・S・レ・ファニュ『ドラゴン・ヴォランの部屋』(創元推理文庫) [幻想文学]

各種の怪奇小説アンソロジーの常連、「吸血鬼カーミラ」で知られるレ・ファニュの、なんと約半世紀ぶりになる日本オリジナル短篇集です。そうです前回が平井呈一によるその『吸血鬼カーミラ』です。
短めでファンタジーなこわい話が四つと、ちょっと長めで超自然要素のない犯罪小説系サスペンスが一つ入っています。後者が表題作の「ドラゴン・ヴォランの部屋」で、こちらがタイトルになっているということは一番おすすめの作品なんでしょうかね。わたくしも同感です。
ディケンズやウィルキー・コリンズと同時代の娯楽小説作家としてのレ・ファニュが楽しめる中篇で、幽霊はいっさい登場しないかわりに怪しい占い師や謎の美女、正体不明の貴族に人が消える部屋などミステリっぽい要素がぞろぞろ出てきます。1815年のフランスを舞台に、だいぶ脇が甘い英国人の主人公が活躍したりひどい目に遭ったりする、サスペンスのみならずユーモアも感じさせる名品です。ほどよい長さでさくさく進んでびしっと終わるキレの良さもよろしいです。
その他の短篇は悪魔や妖精が登場し、作者の故郷アイルランドの伝説を思わせる静かで少し不気味でもある作品が並んでいます。表題作とはがらりと雰囲気が変わるので、いっしょに読んでびっくりしていただきたいですね。

ドラゴン・ヴォランの部屋 (レ・ファニュ傑作選) (創元推理文庫)


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