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コリン・ワトスン『浴室には誰もいない』(創元推理文庫) [ミステリ]

匿名の手紙をきっかけにした捜査で、ある家の浴室から死体を硫酸で溶かして下水に流した痕跡が見つかった。住人と家主はそろって行方をくらましており、被害者の存在も定かでないまま地元警察による捜索が開始される。一方、ある特殊な事情によりロンドンから派遣された情報部員チームも、独自に行方不明の住人の捜索を始めて……
硫酸で死体をとか情報部員が動くとか、絶対おどろおどろしい事態が待っていると思うじゃないですか。表紙の写真も人のいない浴室でどことなく不吉な感じですし。安心して下さい、そんなに怖くないです。本当ですからびびらずに手に取ってみて下さい。アントニイ・バークリーが本書を激賞したのは、すぐれた本格ミステリだからというだけではないはずです。絶対ちがいます。
意図的なものかそうでないのかわかりませんが、あらすじ紹介や装丁からは連想しにくいことに本書はユーモア・ミステリです。読み終わってから振り返ると、明らかに戦慄するより笑っているページのほうが長かったんですよ。笑ってしまう主なポイントは、地元警察の個性的というよりは好き勝手やっているだけのような面々と、ロンドンからやってきた情報部員の皆さんのどこかで見たような超かっこいい諜報活動です。おっかしいだけでは終わらず、終盤の二転三転する展開ではきっちりミステリの楽しみも味わえますので、ぜひ「硫酸で死体を溶かすとか怖い話では?」とびびりながら騙されたと思って詠んでみて下さい。そしてまんまと騙されて下さい。

浴室には誰もいない (創元推理文庫)


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