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ジャック・ヴァンス『天界の眼 切れ者キューゲルの冒険』(国書刊行会) [幻想文学]

数十億年の超未来、科学が衰退し魔法が復活した滅びゆく地球。小悪党キューゲルは秘宝目当てに〈笑う魔術師〉イウカウヌの城へ忍び込むがまんまと捕まり、天界を映し出す魔法の尖頭を探す旅に送り出されてしまう。北の地に飛ばされたキューゲルは探し物を手に入れ、どこまでも広がる危険な荒野や砂漠を越えて魔術師への復讐を果たすことができるのか?
未来の話といっても魔法が復活した世界ですからだいたいはSFというよりファンタジーです。表紙のイラストにいる、ちょっとメカっぽい乗り物に乗った美女はちゃんと登場しますのでご安心下さい。そしてこれは大切なことなので最初に言っておきたいのですが、主人公がほんとうにしょうもない小悪党です。そもそも北の果てに飛ばされてさんざん苦労するはめになるのだって、魔術師のお宝を狙ってやり替えされての自業自得ですからね。
彼が似たり寄ったりの悪党たちを相手に悪知恵をはたらかせたり、人助けをしておいしいところだけ持って行こうとしたりしながらどうにか魔術師の城へ戻ろうとする連作集で、未来世界のろくでもないやつらがぞろぞろ登場します。キューゲルが行く先々で遭遇する異様な生き物や魔法のイメージは想像力豊かでどれも楽しくちょっと怖く、でも根っこのところがろくでなしのだましあいですから難しく考えなくても楽しいピカレスク・ロマンとなっています。

天界の眼: 切れ者キューゲルの冒険 (ジャック・ヴァンス・トレジャリー)

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