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ステファン・グラビンスキ『狂気の巡礼』(国書刊行会) [幻想文学]

動きの悪魔』で一躍わたくしの注目を集めたステファン・グラビンスキの日本では二冊目の短篇集です。『動きの悪魔』は鉄道をテーマにした作品でまとめられていましたが、こちらはもっと幅広い怪異、心理的な恐怖をたくさん取り扱っています。
「ポーランドのラヴクラフト」、あるいはポーや夢野久作との類似点も指摘されているというお話が訳者あとがきにありますけれども、芥川龍之介の晩年みたいな得体の知れない不安感もちょっと感じました。
文章が詩的で濃密なぶん、明らかに道を踏み外してゆく主人公の心理がよけいにおそろしくてすばらしいです。どうあっても最終的に破滅に至るお話ばかりなんですけれども道筋はさまざまで、冒頭に置かれた「薔薇の丘にて」は耽美的でありながら不安な世界が一気に奈落へ落ち込むような結末でしょっぱなから痺れました。ポーともラヴクラフトとも違う作家を意識したと思われる、まるで冒険小説みたいな舞台設定を用意した「煙の集落」には驚かされましたね。

狂気の巡礼


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