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アルジャーノン・ブラックウッド『ウェンディゴ』(アトリエサード) [幻想文学]

カナダの森林地帯をおとずれた狩猟家たちが遭遇する怪異を描いた表題作のほか、中篇2作品をおさめたぜいたくな幻想小説集です。
表題作では森林地帯にひそむ超越的な存在が主人公たちのそばを横切り、ほんの少しだ接触してまた森の中へ消えてしまいます。あれはいったい何だったのか確かなことは誰もわからないまま、怖ろしくも美しくぞっとするものに触れてしまった印象が残ります。きっとこういう何者かは、カナダだけじゃなく日本の山や森にもいるんですよ。
同時に収録された「砂」「アーニィ卿の再生」はいずれも、エジプトの砂漠やフランスの山中で人間の理解を超えた何かが出現する儀式に立ち会うお話です。舞台となる地域や結末はそれぞれ異なるのですが、「ウェンディゴ」も含め神秘的な存在との接触を題材にとった、境界線を踏み越えてやってくるもの(もしくは踏み越えた人間が目撃するもの)の目には見えない姿が忘れがたい名作でした。
わたくし初めてブラックウッドを読んだのはもうずいぶん前で、正直なところ秘儀参入とか幻視者の夢とかよくわからなかったのですが、今回は何となく味わいがわかるような気がして成長できたような気になりました。

ウェンディゴ (ナイトランド叢書)


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