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E・ヘミングウェイ、W・S・モームほか『病(やまい)短編小説集』(平凡社ライブラリー) [海外小説]

タイトルに「病」と入っていますから一目瞭然です。結核、梅毒、神経衰弱、ハンセン病など、さまざまな病をテーマにした英米文学のアンソロジーです。文学的な視点から取り上げたものばかりなので医学的には必ずしも正確ではなく、病気の描写がグロテスクすぎて怖くなるようなことはそんなにないと思います。表紙はおどろおどろしいですけどね。
同じ「病(やまい)」という主題によりながら出来上がった作品はさまざまで、しんみりと感傷的なものもあればゴシックホラーに近いものもあり、夜に一人で読んだらトイレには行けないわ眠れないわの大惨事を引き起こしそうなものもあります。19~20世紀の短編が幅広く拾われていますが、現在ではすでに否定されている知識がちらほら出てくるのを、迷信と笑い飛ばすのではなく当時の価値観や空気を読み取る手がかりにできるのは小説の世界ならではの特権です。
ていねいな解説がついていて、それぞれの作品にまつわる背景や最近の研究成果についても軽く触れることができます。梅毒が父親からの遺伝と考えられていた時代ですとか、癌の手術に麻酔が用いられていなかったころの話ですとか、ほんの200年ばかり前の世界が身近になったり遠くなったりする心地です。

病(やまい)短編小説集 (平凡社ライブラリー)


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