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橋本治『愛の矢車草』(ちくま文庫) [国内小説]

一般的なイメージよりちょっとずれた愛をテーマにした四つの短篇です。主に恋愛に近い四つの愛が出てくる分けですけれども、なるほど普通のテレビドラマなどではなかなかお目にかかれない光景ばかりです。
詳細な自作解説「私の習作時代」によれば、それぞれに明確なコンセプトを設定したうえで書かれたそうです。そのまま頭から読んで面白いのはもちろん、ここを意識して読んでから解説に進むと一歩踏み込んだ楽しみ方ができます。
なんせ短いのでちょっとしゃべるとすぐネタバレになってしまいますがとにかくちょっと変わった愛に触れた人々のお話なので、彼らがその後幸せになったかどうかはわかりませんが、奇妙ながらも読後感はさっぱりすっきりとしています。特異な(ようでいて、案外そうでもないかもしれない)シチュエーションに身を置きつつも日常的でさらりとした筆致がすてきなお話もありますし、逆に特定のジャンルを意識して凝りまくった文体を採用したものもあります。派手な題材を引っ張ってきつつ、小説の面白さを追求することが置きっ放しになっていないからですかね。

愛の矢車草―橋本治短篇小説コレクション (ちくま文庫)

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