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ステファン・グラビンスキ『動きの悪魔』(国書刊行会) [幻想文学]

ポーランドの古典的恐怖小説作家というだけでもなかなか珍しいのに、なんと一冊まるごと鉄道をテーマにした怪奇小説のみが入っている連作短篇集です。
楽しげな人々であふれかえるにぎやかな駅、夜の一等車室、疾走する機関車、忘れられた廃線、ヨーロッパをめぐる未来の列車などなど、とにかくいろんな鉄道が出てくる短篇が満載です。登場人物も旅客であったり車掌であったり駅長であったり保線工夫であったり、何らかのかたちで鉄道にかかわる人ばかりで(たまに人じゃないものも出てきます)いいから鉄道ファンの人は読んで下さい、としか申し上げられません。ただし2話に1話くらいの割合で事故が起こるので、作者の意図とは別の意味でも怖いです。
20世紀初頭に活動した作家ですから走っている列車は当然電車ではなく汽車です。蒸気機関車真っ盛りの時代のお話なので、現代にSLについて考えるときにひっついてくるノスタルジーは見受けられず、現役でばりばり仕事をしている活力に満ちた姿がたくさん出てきます。そこで生まれる恐怖は破滅的な衝突事故ばかりじゃなく、おなじみの怪談に近かったり驚くほどSF的だったり、わけのわからん次元へすっ飛んでいってしまうものもあり、バリエーションに富んだ鉄道旅行と恐怖を楽しめました。

動きの悪魔


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