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宮崎市定『水滸伝 虚構のなかの史実』(中公文庫) [学術書]

中国の四大奇書(おもしろ本)の一つに数えられる『水滸伝』のエピソードや登場人物を史実と照らし合わせて魅力を探る本です。もとは歴史雑誌の連載で、著者の宮崎さんは筋金入りの水滸伝ファンだそうですから、これはもう好きな人ならどこから読んでも楽しいですよ。
「北宋末期の話」というだけで自由に創造され、さまざまなかたちで流布していた物語がまとまり、数多くの無名の作者たちによる加筆と編集を経て現代に残された姿をとったと思われる水滸伝ですが、梁山泊につどうヒーローたちすべてが民衆の願望から生まれた架空の人物かといえばそうでもない。悪役である役人やら宦官たちについては間違いなくモデルがいましたし、けっして何から何まで荒唐無稽な作り話だったわけではないんですね。冒頭から悪行の限りを尽くすやつらがじっさいには何をやった人たちだったのか、好漢たちのふるまいに見られる当時の考え方など、もっと読みたくなるテーマが盛りだくさんです。「宋江は二人いた」なんて見出し、それだけでめちゃくちゃ興味をひかれませんか。
一番もっと知りたいと思ったのは、時代の移りかわりによる水滸伝の読まれ方の変化です。中国はたびたび王朝が変わりますし近年は革命で価値観ががらりと入れ替わりましたし、昔っからいらんもんを増やしたり削ったりされてきたテキストなんですね。

水滸伝―虚構のなかの史実 (中公文庫)


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