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鹿島茂『パリの王様たち ユゴー・デュマ・バルザック三大文豪大物くらべ』(文春文庫) [学術書]

フランス近代文学の三大巨匠の生涯を、文学的業績よりもそれを生み出す糧となった(かもしれない)私生活に軸足をおいてつづった大変おもしろい評伝です。下手をしたら彼らの書いたものよりおもしろいかもしれない人生についての本です。
全編を通しての三本柱が「金」「女」「名声」でなまぐさいことなまぐさいこと、下世話だったらありゃしません。この作家さんたちの小説を楽しまれた方なら、どこかでその不行跡を耳にされてると思うんですけれども、『レ・ミゼラブル』に感動した人にはぜひとも衝撃を受けて幻滅していただきたいです。『三銃士』や《人間喜劇》をご愛読の方にはそんなにショックではなく、どちらかといえば納得していただけそうな気がします。ほんとうに小説よりおもしろい、資料なしにそのまま出したらフィクションだと思われかねない底抜けの人々なんですよ。
本書は資料があやふやだったり明らかに伝記作者の創作と思われるエピソードについてはしっかり明記し、そのうえで「こういうお話が出るのも不思議なことではない」と教えてくれる親切設計です。それがまたいちいちなまぐさくて、現代でいうタブロイド紙の自称関係者に取材した記事みたいでたまりません。
1800年前後に生まれた彼らはナポレオンの子どもたち世代であり、彼らの生涯を振り返ることはそのままナポレオン後のフランスとヨーロッパの歴史を眺めることでもあります。とんでもない時代に生まれてとんでもない時代に輝いた三巨星もあったものです。

パリの王様たち―ユゴー・デュマ・バルザック三大文豪大物くらべ (文春文庫)


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