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高原英理『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』(ちくま文庫) [国内小説]

著者の提唱する「文学的ゴシック」に属する作品を集めた、言ってみれば理論の実践となるアンソロジーです。わたくしの好きな、近代ヨーロッパで隆盛したゴシックロマンスとはまた別です。ゴシックという概念から出発して現代の作品を集めるさいのキイワードは「不穏」ということで怖い話と暗い話が多めのようですが、かと思うと突き抜けて明るい世界が急に広がったりしているんですよ。
とりあえずこうしたショーケースについては、説明するより覗いてみるのが一番です。読んでみて、何となく編者の言いたいことがつかめたり、好きな作品がいくつか見つかったらそれでもう文学的ゴシックを肌で理解したも同じです。で、「ここはあの作品を入れるべき」「あの作家もこの中に並べていいのでは」とまで考えたら、十分に楽しんだと言えるのではないでしょうか。わたくしは芥川龍之介のいくつかの作品を置いてみても良いのじゃないかと思いました。

個人的な印象の話をすると、昔ながらのゴシックロマンスで大事なのは閉塞感と逃げ場のなさだと勝手に考えていました。古城の地下牢とか不気味な屋敷、あるいは運命の手の中から逃れられない人々の物語だと思っているですが、20世紀を経て21世紀に入り、時間や空間など外部からのはたらきかけではなく、人間の精神から逃れられない時代に入ったのかという感想を持ちました。
もっぱら小説としてのゴシック形式ばかり楽しんでいたのでこんな調子ですが、コスチュームとか建築のゴシックに通じていれば別の視点からの楽しみ方が出来そうです。周辺を勉強したくなる本ですね。

リテラリーゴシック・イン・ジャパン: 文学的ゴシック作品選 (ちくま文庫)


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