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中野美代子『ザナドゥーへの道』(青土社) [国内小説]

元帝国の夏の都にして、後に楽園の代名詞となったザナドゥー探索をテーマに、時代と場所を自由に行き来しながら、歴史に名を刻む人々のエピソードをつづった全12編の連作短篇集です。
各章の主要人物が記されたもくじを眺めてみてもおおかたが知らない名前ばかり、誰でもわかる大事件がたくさん起きるわけでもない地味な展開で、それなのに面白いんですよ。淡々と語るだけで物語になる歴史と、淡々と語るだけで歴史を物語にしてしまう声の合わせ技です。わたくしは中野さんの文体がたまらなく好きなんです。
ウラジオストクからイタリア、さらに南海まで、各話ごとに予想外の地点へジャンプしながらも、時空を越えて思いがけない人物のつながりが見いだされるのも、本書の語りにおける楽しみのひとつです。
ときには中野さんにとっておなじみの、そして多くの読者もどこかで出会ったことがあるキャラクターがゲスト出演していて、シルクロードの懐の深さがうかがわれます。もくじに知人がいなくても、歴史をかじった人ならよく知る名前は意外なところでどんどん出てきますからね、油断してちゃいけませんよ。

ザナドゥーへの道

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